酒肴家の稲垣知子さんが教える「酒肴調味料」第二弾は“山椒麹”。酒好きが愛してやまない山椒は、塩麹と出合うとより鮮烈な香りを放ち、塩麹ならではの旨味が日本酒に寄り添います。比類なき酒肴のための調味料がここに誕生です!
酒肴家の稲垣知子さんが、酒肴をつくるときに愛用しているとっておきの自家製調味料が、ここまで紹介してきた“純米だし醤油”のほかに、もうひとつある。
“山椒麹”だ。このふたつがあれば、つまみのレシピは無限大に広がる、と教えてくれた。
「純米だし醤油と山椒麹は、いわば旨味を凝縮した調味料です。だしの代わりになりますし、余計な調味料を加えなくても、手軽においしいつまみをつくることができます。つくり方も簡単なんですよ」
山椒麹は、塩麹に実山椒の水煮を入れてひと晩ねかせたもの。塩麹の旨味と、実山椒の目の覚めるような青い辛味は、そのままつまんでも酒肴になるし、ひとさじ加えるだけで料理の味わいが鮮やかに色めき立つ。卵や汁ものに入れればだし代わりにもなる。
実山椒 | 50g(水煮) |
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塩麹 | 100g |
しっかり水気をきった実山椒を保存容器に入れて、塩麹を加えてよく混ぜる。実山椒と塩麹は1:2の割合が目安。
冷蔵庫に入れて、ひと晩ほどねかせたら完成。要冷蔵で1カ月以上は保存可能。
「私がお酒、とりわけ日本酒を飲むときに欲しくなるのが、塩気ではなく“だし味”。塩味よりもだしを効かせた方が、旨味のある日本酒に同調して、お酒がすすむんですよ。料理にインパクトを持たせるのではなく、日本酒の旨味や甘味と料理を合わせて口の中で完成するイメージです。これがおつまみです。でも、毎回だしを取るのは大変なので考えたのが、この酒肴調味料なのです」
明日(2019年10月12日)は山椒麹を使ってつくる“だし巻き”と“あさりと山東菜の酒蒸し”です!
日本酒をこよなく愛する酒肴家、料理研究家。萩ふるさと大使でもあり、萩焼の作家有志とともに考案した沓形の酒器が好評(東京「籠屋 秋元商店」や神奈川「望月商店」などの酒販店で販売中)。著書に『日本酒マリアージュ』(誠文堂新光社)など。
文:山内聖子 写真:三浦英絵