酒肴研究家の稲垣知子さんによる“純米だし醤油”を使った、煮物レシピを紹介します。
風味豊かな江戸風の煮物料理“穴子の煮こごり”と、卵の工夫で絶品ご馳走つまみの “牛肉の柳川風”。
食べれば、きっとこう言いたくなります。熱燗ください!
穴子 | 2尾(おろした状態で1尾70g程度のもの) |
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水 | 1カップ |
純米だし醤油 | 大さじ2 |
本味醂 | 大さじ1 |
生姜 | 1/3片 |
穴子は皮目に熱湯をかけ、白くなったらすぐに氷水にとる。臭みの原因になる皮目のぬめりを包丁の背などでしっかりとこそげ取り、キッチンばさみで背びれなどを切り落とし、半分に切る。
穴子の大きさに合う小さめの鍋に水、純米だし醤油、本味醂を入れてひと煮立ちさせ、穴子を加える。
沸騰させてアクが出たら取り、落とし蓋をして弱火で30分ほどじっくりと炊く。
穴子がやわらかくなったら、薄切りにした生姜2枚を加えてひと煮立ちさせる。味見をして、味が薄いようなら落とし蓋をはずし、火力を強めて煮汁を詰める。
煮上がったら生姜は取り除き、そのまま冷ましてから、冷蔵庫に入れる。
だしが煮こごりになるほど冷えたら、ひと口大に切って盛りつけ、針生姜をあしらう。
純米だし醤油の旨味たっぷりの穴子の煮こごり、燗酒と合わせると、すべてが溶けて口の中が幸せになります。熱を加えて、卵とじにしてもおいしい。
牛肉 | 120g(すき焼き用) |
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牛蒡 | 50g(1/3本) |
卵 | 2個 |
水 | 1カップ |
純米だし醤油 | 大さじ3 |
本味醂 | 大さじ2 |
白ねぎ | 1/3本 |
七味唐辛子 | 適宜 |
牛蒡をささがきにして、鍋に敷き込み、水、純米だし醤油大さじ2、本味醂を加え、牛蒡がしんなりやわらかくなるまで煮る。
卵を割りほぐす。このとき、1個の卵は丁寧にほぐし、もうひとつは黄身を軽くつぶす程度に軽くほぐす。
牛肉と純米だし醤油大さじ1を加えて軽く煮込み、肉に8割程度火が入ったところで、溶き卵を回しかけて1~2分、卵がくつくつするまで煮る。
火を止めて蓋をし、余熱で卵を半熟に仕上げる。
白ねぎを斜め薄切りにして上にのせ、七味唐辛子をお好みでかけて出来上がり。
江戸風に醤油味を効かせた煮物も、純米だし醤油があれば、お手のもの。純米酒を熱めの燗で合わせると、最高。溶き卵に変化をつけると、食感のバリエーションでより味わい深くなります。オススメ。
次回(2019年10月11日)は、もうひとつの酒肴調味料“山椒麹”を紹介します!
日本酒をこよなく愛する酒肴家、料理研究家。萩ふるさと大使でもあり、萩焼の作家有志とともに考案した沓形の酒器が好評(東京「籠屋 秋元商店」や神奈川「望月商店」などの酒販店で販売中)。著書に『日本酒マリアージュ』(誠文堂新光社)など。
文:山内聖子 写真:三浦英絵