ゼリーのレシピ、番外編は杏仁豆腐!すっきり甘い味わいは、仕上がる食感の違いで印象がガラリと変わります。ゼラチンと寒天の特徴を知って、固め上手になりましょう。
ゼリーを美しく固めてくれる立役者、ゼラチン。コツをつかめば、いろんな液体をぷるぷるにしてくれると、お菓子・料理研究家の森崎繭香さんが教えてくれました。
"固める"食材といえば、スーパーでは寒天もよく見かけますよね。
ゼラチンと寒天は何が違うのでしょう。そもそも寒天って何もの?
ふと、森崎さんに訊いてみました。
「寒天の原材料は海藻です。天草などの粘液を凍結、乾燥させてつくられているんですよ。同じ固める食材でもゼラチンの原料は、動物の骨や皮に含まれるたんぱく質のコラーゲンです」と森崎さんは言います。
植物由来の寒天と動物由来のゼラチン。まったく別物じゃないですか!
味や食感に違いはあるのでしょうか?
「寒天は仕上がったときの食感にぷるぷる感がなくて、軽い口当たりが特徴です。和菓子に使われる事が多いですね。ゼラチン特有の加熱したときにでる脂のような匂いもありません。」
水ようかんやところてんの歯切れのよい食感が、寒天で固めたおやつの持ち味なのですね。
原料が植物ならば、ヴィーガンの方でも食べられるし、食物繊維もたっぷりでお腹にやさしい。
いいことづくめじゃないですか!
「寒天は常温で固まります。冷蔵庫に入れてなくても溶けにくいので、運動会や遠足など野外に持っていくなら、寒天のデザートがおすすめです」
なるほど。手づくりの差し入れなどにも寒天のおやつが良さそうです。メモメモ。
「ゼラチンは高温で固まりにくくなりますが、寒天はしっかりと沸騰させないと固まりません。これさえ覚えておけば、失敗しません!」
森崎さんがゼラチンと寒天で固めるときのコツを披露しながら、それぞれを使って杏仁豆腐をつくります!
杏仁霜 | 20g |
---|---|
水 | 100ml(シロップ用) |
グラニュー糖 | 30g(シロップ用) |
パイナップル | 適量(缶詰のもの) |
粉ゼラチン | 5g |
水 | 30ml(ゼラチン用) |
グラニュー糖 | 40g |
水 | 200ml |
牛乳 | 200ml |
シロップ用の水とグラニュー糖を鍋に入れて弱火にかける。混ぜながらグラニュー糖を溶かし、ひと煮立ちしたら火を止める。粗熱が取れたら、1cm角に切ったパイナップルを入れて、冷蔵庫で冷やす。牛乳を室温に戻しておく。
粉ゼラチンを水(ゼラチン用)にふり入れ、竹串で混ぜて溶かす。
必ず水に粉ゼラチンをふり入れるようにしましょう。ゼラチンがダマにならないように均一に混ぜることが大切です。
鍋に杏仁霜とグラニュー糖を入れ、ゴムベラで粉玉がなくなるまで混ぜる。水を加えて中火にかけ、混ぜながら杏仁霜とグラニュー糖を溶かす。沸騰直前に火から下ろし、牛乳を加える。
水を加える前に杏仁霜とグラニュー糖を混ぜておくと、水分が加わった時にダマがなく溶けますよ。
1を2に加えて、溶け残りがないようにゴムベラで混ぜる。
ゼラチンを混ぜたら、溶け残りがないか必ずチェックするようにしましょう。
3の粗熱が取れたら器に流し入れ、冷蔵庫で4時間以上冷やし固める。
器の8分目ぐらいまで注ぐと、美しく見えます。
4を冷蔵庫から取り出し、下準備でつくったシロップを大さじ1かけ、パイナップルを飾る。
杏仁霜 | 20g |
---|---|
水 | 100ml(シロップ用) |
グラニュー糖 | 30g(シロップ用) |
クコの実 | 12粒 |
粉寒天 | 2g |
グラニュー糖 | 40g |
水 | 200ml |
牛乳 | 200ml |
シロップ用の水とグラニュー糖を鍋に入れて弱火にかける。混ぜながらグラニュー糖を溶かし、ひと煮立ちしたら火を止める。粗熱が取れたら、クコの実を入れて冷蔵庫で冷やす。牛乳を常温に戻しておく。
鍋に杏仁霜、粉寒天、グラニュー糖を入れ、ゴムベラで粉玉がなくなるまで混ぜる。水を加えて中火にかけ、混ぜながら沸騰させる。2分間混ぜ続けて、火を止める。
寒天はしっかりと沸騰させないと固まりません。吹きこぼれないように注意しながら、2分間沸かせば失敗しません。
牛乳を600Wの電子レンジで1分30秒温めて、1に加える。
ゼラチンと違って、寒天は常温で固まります。冷たい液体を急に加えると、一気に固まってしまいます。常温以下にしないように牛乳は温めてから加えましょう。熱々でも大丈夫ですが、固まるまでの時間が長くなってしまいます。
2の粗熱が取れたら器に流し入れ、冷蔵庫で4時間以上冷やし固める。
3を冷蔵庫から取り出し、下準備でつくったシロップを大さじ1かけ、クコの実を3粒飾る。
「寒天で固めた杏仁豆腐は再加熱して溶かしても、再び固まります。分量を間違えてしまった時なども、つくり直しができますよ。気をつけるポイントは、ゼラチンよりも少ないので、ぜひ寒天のレシピにも挑戦してみてくださいね」
――つづく。
1976年、横浜生まれの八王子育ち。お菓子・料理研究家/フードコーディネーター。料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。書籍、雑誌やWEBへのレシピ提供、ラジオ・テレビ出演など幅広く活動中。身近な材料を使った自宅でもつくりやすいレシピを心がけている。2019年には、人と犬が一緒に食べられる無添加おやつとごはんのオンラインショップ「one's daily」をオープン。著書に『型がなくても作れるデコレーションケーキ』(グラフィック社)、『小麦粉なしでつくる たっぷりクリームの魅惑のおやつ』(日東書院本社)、『米粉で作る うれしい和のおやつ』(立東舎)。最新刊は『はじめてでもおいしくできる! おうちおやつ』(文化出版局)。
文:長嶺李砂 写真:公文美和