
あなたの焼酎ライフに革命を! 洗練されたバーテンダーのセンスとテクニックで、本格焼酎を最高においしく飲ませてくれるレストランバー「The SG Tavern」。今回の【焼酎の教室】は全5回にわたり、焼酎を愛するバーテンダーの大渕修一さんが銘柄に合わせて考案した、ソーダ割り&水割りの手法を教わっていきます。第3回目は麦焼酎「御神火(ごじんか)」(谷口酒造/東京・大島)のソーダ割り。『dancyu夏号』の麦麦焼酎特集でも紹介した秘技・まぜまぜソーダ割りを実演していただきます。シェフ特製のおつまみも出てきます!

2022年よりSG Groupに加わり、ワインカクテルのペアリングを提供するレストラン「swrl.」をマネージャーとして牽引。国内外の新店舗立ち上げにも携わる。本格焼酎に魅せられ、カクテルや水割り、ソーダ割りなどの多彩な飲み方を模索。いま蔵元からもっとも信頼されるバーテンダーの1人。

『dancyu夏号』の麦麦焼酎特集で大渕さんが披露してくれた、「御神火」のネクストレベルなソーダ割り。初見の方はちょっとびっくりしてしまうであろう、超濃厚な麦焼酎を味わうためのソーダ割りです。
伊豆諸島最大の島、大島の谷口酒造で造られている島酒「御神火」。常圧蒸留によるパンチの効いた香ばしさが唯一無二で、麦焼酎好きにはたまらない銘柄です。
ただ、杜氏の谷口英久さんにはある悩みが。それが「御神火はソーダ割りに合わない」ということ。そこで大渕さんが、谷口さんと一緒に生み出したのが今回のソーダ割りの手法なのです。

「御神火は旨味たっぷりの麦焼酎で、お湯割りが抜群においしい。この重厚なおいしさを、ソーダ割りでも楽しめないものかと杜氏とディスカッションしました。ソーダ割りに合わないとされる理由は、やはり油分。2杯目でも言いましたが、冷えすぎると香りが開かず、本来のポテンシャルを発揮できないんですね。そこで思いついたのが、氷なし、炭酸もほぼないソーダ割りです」(大渕さん)
すなわち、シュワシュワしていないということですか! この概念を覆すソーダ割り、つくり方もとってもユニーク。なんと陶器のカップを2つ使うんです。さっそく実演です。
陶器のカップAにソーダ60mlを注いでから、同じカップに焼酎45mlを注ぐ。(1:1でもOK)。

焼酎とソーダを注いだカップAから、もう1つの空のカップへ、液体を交互に入れ替えながら混ぜ合わせる。カップからカップへ注ぐ時は勢いよく! トータル3往復繰り返したら完成!(陶器のカップではなくグラスを使用する場合は、3往復ではなく5往復混ぜる)

カップからカップへ、空気を含ませながら勢いよく液体を注ぐのがコツ。中身を入れ替えているうちに焼酎とソーダが均一に混ざり合い、温度は常温に近づいていきます。炭酸はだんだんと優しくなりますが、味わいのうえではしっかりと仕事をしていると大渕さん。
「炭酸の泡の力で液体が攪拌されて、香りがブワッと上がってくるんです。そのためにソーダを使っている感覚ですね。飲む時も少しだけ残った炭酸が、香りを押し上げてくれます」(大渕さん)

倶楽部メンバーたち、このソーダ割りの実践タイムが一番楽しそうでした。陶器のカップが足りなかったので、一部の人はグラスを使ってまぜまぜ。ちなみにグラスの場合は「液体の入れ替えを3往復ではなく、5往復やるといい」と大渕さん。
飲んでみると、まずは舌触りのシルキーさにびっくり。2つのカップで丹念にまぜまぜしたことで、焼酎とソーダが完全に一体化して、微細になった泡の感触が舌の上をゆっくり滑っていきます。そして奥のほうからじんわりと立ち上がる麦の香ばしさ! 大渕さんの「暖炉の前で飲みたいようなソーダ割りです」という言葉に激しくうなずけます。こんな表現があったとは!

「このソーダ割りには陶器の器がぴったりですね。こんなソーダ割りの方法があるなんて……すごくおいしいです」と倶楽部メンバーたちも大絶賛。いろいろな濃厚系麦焼酎で試してみたいソーダ割りでした。
レストランバーがコンセプトの「The SG Tavern」では、ミシュランレストラン出身のシェフ、中川龍介さんが手掛ける料理も魅力の1つ。日本料理をベースにした、目にも舌にも楽しい料理が味わえます。今回は特別に、焼酎に合うおつまみを用意してもらいました。
シラーチャーというホットソースとマヨネーズを合わせたソースで食べる「鰻のポテトサラダの生春巻き」や、「サーモンの押し寿司」、通常メニューのシグネチャーである、コーンフレークの衣をまとった「フライドチキン」など、全部で5種。
おいしそうに舌鼓を打つ倶楽部メンバーたち。さらに焼酎が進みます。
次回からはいよいよ水割り編。大渕さんの真骨頂は実は、水割りなんです。鹿児島県霧島市・中村酒造場の「甕仙人(かめせんにん) ブルーボトル」を割ります。お楽しみに!
文:井上麻子 撮影:伊藤菜々子