
2026年日本酒dancyu「出会えてよかった!心ふるえる酒」特集では、選りすぐりの日本酒を、気の効いた料理と共に味わえる注目の新店をピックアップ。今回は京都河原町「日本酒とお料理 お湯」をご紹介します。
「お湯」という店名のイメージ通りの癒し系店主・岩間理恵さん。「燗酒で体の中から温まって、お湯に浸かるような幸せな心地になってほしくて」。開店は14時。明るい店内は、背徳の昼酒も「たまには、いいよね」と肯定するようにやわらかな雰囲気に満ちている。


日本酒は40種ほど揃い、そのうち冷酒はたった5種。「大地」「誉凱陣(ほまれがいじん)」など燗上がりする顔ぶれが、カウンターの端に並ぶ。


お造りから土鍋ご飯まで連なる品書きの中から、7種を選んだおつまみ盛り合わせは、ぜひ注文を。「これで3杯くらい飲んでもらえたら」と岩間さん。
イリコトマト煮はパクチー風味のピリ辛で、ポテサラはゴルゴンゾーラ入り。燗酒を所望したら「十旭日(じゅうじあさひ) 純米吟醸」が55℃で出てきた。吟醸香がハーブと渡り合い、シャープなキレが青かびチーズの余韻を断って、ご機嫌な相性だ。



岩間さんは京都の人気酒場「まんざら亭」に計15年勤め、料亭出身の先輩の下で腕を磨いた。友達の居酒屋を手伝うために向かった福岡で、燗推しの酒場に出会い、酒の味が膨らむ温度があると知ったという。

京都に戻り、店を開いたのは2024年9月。「酒が火傷しないように、ゆっくり温める」心がけで、岩間さんの燗つけの腕は開店以来みるみる上達。優しいお燗に身も心もほぐされた常連が帰り際、口を揃えて言う。「今日も、いいお湯でした!」。

文:中本由美子 撮影:東谷幸一