
その町の住人が長く通う店こそ、愛される名店に違いない。dancyu2026年夏号では、「ラ・カーサ・ディ・テツオ オオタ」や「マードレ」を営み、アマゾンカカオを使った料理やスイーツが大人気の太田哲雄さんに軽井沢エリアのとっておきを案内してもらいました。
「Gelateria Gina(ジェラテリア ジーナ)」は軽井沢駅北口から歩いて3分の小さなイタリアだ。ジェラート職人の常田光秀さんはイタリアの初代チャンピオン、パルミーロ・ブルスキ氏のもとで修業。師匠が開く講習会ではアシスタントを務め、イタリア全土をまわったという。
ジェラートづくりの相棒は、イタリアの老舗メーカー、カタブリカ社の “エッフェ”日本1号機。
「濃密できめ細かいジェラートをつくれるのがこのマシン。車でいうとマニュアル車に近いので使いこなすには技術が必要ですが、クオリティは段違いなんです」
さらに常田さんが大事にしているのは鮮度。朝から厨房に立ち、出来たてを順次、店頭に並べていく。そのジェラートは濃厚ながらも軽やかで、舌触りはうっとりするほど滑らか。「オブセ牛乳」をはじめ長野県産の新鮮な素材を取り入れて、本場仕込みのジェラートに磨きをかけている。


フレーバーは定番と季節替わりの計12種類。太田さんのお気入りは旬の信州フルーツを使ったソルベットだ。
「フルーツは季節を追って替わるのですが、どれも素材感がしっかりあって瑞々しいんです。ヘーゼルナッツのジェラートも好き。ピエモンテで暮らした家はヘーゼルナッツ畑に近く、食べると懐かしさを感じます」



夕食後にジェラートを食べるイタリア文化に倣い、毎日22時までオープン。「バールとしても利用してほしい」とワインやつまみも用意され、太田さんも夜にふらっと立ち寄ることが多いそうだ。
飲んだ後の締めくくりにはもちろんのこと、新幹線に乗る前、あるいは降りた後に足を向ければ、軽井沢で過ごす時間が一段と楽しくなるはずだ。

長野県白馬村生まれ。イタリア、スペイン、ペルーで通算10年以上の経験を積む。2019年から軽井沢に拠点を構え、レストランのほか食堂兼売店「マードレ」を運営。アマゾンで出合ったカカオの普及にも力を注ぎ、自身でも多彩なスイーツを開発。
文:上島寿子 写真:鈴木泰介