
その町の住人が長く通う店こそ、愛される名店に違いない。dancyu2026年夏号では、「ラ・カーサ・ディ・テツオ オオタ」や「マードレ」を営み、アマゾンカカオを使った料理やスイーツが大人気の太田哲雄さんに軽井沢エリアのとっておきを案内してもらいました。
「スタッフとよく行くのがこの店」と太田さんが挙げたのは、軽井沢の隣、佐久市にあるピッツェリア「ジンガラ」だ。ガラス張りの開放的な店内は大勢でワイワイとテーブルを囲むのにうってつけ。浅間山を見晴らすカウンター席もあり、1人で行ってもゆったり過ごせる。2階にも客席があり、こちらは懇親会やパーティーなど貸切でも利用できるそうだ。

分厚いメニューには前菜からパスタ、メインのTボーンステーキまでギッシリ並び、前菜には信州サーモンや安曇野産の信州吟醸豚など県産食材もふんだんに盛り込まれている。
看板のピッツァも多彩で、その数、50種類以上! 定番のほかに、旬の素材を盛り込んだピッツアもあり、季節感を満喫できるのも嬉しい。
もちもちして口溶けのよい生地がまた秀逸。ピッツァ職人のオーナー、井出孝夫さんによれば小麦粉はイタリア産と国産を配合し、加水率はなんと70%超とか。瑞々しいその生地を薪窯でパリッと焼くから香ばしさも格別だ。
「最近、食べたのは渋谷にある『チーズスタンド』のモッツァレラを使ったマルゲリータ・インテグラーレ。チーズの旨味がしっかり感じられ、イタリア時代に働いたピザ屋の味を思い出しました」と太田さん。


もう一つ、太田さんがこの店に惚れ込む理由が井出さんの人柄だ。
「若い人たちの雇用と育成に力を注ぎ、実力のある門下生たちが巣立っています。その姿勢を開店から20年間、貫いているところも尊敬します」
発想もホスピタリティに溢れ、「食後もゆっくりしてほしい」と店内にコーヒーロースターを導入しているそう。ピッツァを満喫したら、自家焙煎のコーヒーと手づくりのドルチェもぜひご賞味を。


長野県白馬村生まれ。イタリア、スペイン、ペルーで通算10年以上の経験を積む。2019年から軽井沢に拠点を構え、レストランのほか食堂兼売店「マードレ」を運営。アマゾンで出合ったカカオの普及にも力を注ぎ、自身でも多彩なスイーツを開発。
文:上島寿子 写真:鈴木泰介