
東京から東海道線で揺られること一時間余り。歴史ある温泉地・湯河原がいま、おいしいもの×旅に加えて、「ロカボ(適正糖質)」をキーワードに盛り上がっている。そんな湯河原ロカボツアーを”リブレ2”という血糖値測定器を着けて編集部員が体験。旅の締めくくりとなるのは、地元食材と季節感を何より大切にしている「お料理 加瀬」のロカボコースだ。
湯河原ロカボ旅の締めくくりとなる夕食に向かったのは、駅からも程近い場所にある「お料理 加瀬」。店主の加瀬康之さんは元々「石葉」で料理長を務め、2022年に独立。奥さまの亜理歌(ありか)さんと二人で営んでいる。
「最初は銀座で店をやりたいと思っていたんです。でも、いざ働いてみると料理に季節感があまり出せなかったんですよね。せっかく和食をやるなら、季節を大切にしたい。そう思って、地方で働き、地元食材や季節感をしっかり演出することを目指すようになりました」
加瀬さんは、ロカボだからといって普段と大きくは変えない。実は、低糖質調味料(ラカンカ糖など)は一切使っていないそう。提供する順番や調理法を変えることでロカボを実現している。


「お料理 加瀬」のロカボコースは、先付から甘味までで合計10品。
「最初に糖質の低いスパークリングワインなどで食事をスタートすることで血糖値の上昇が緩やかになります。僕自身もリブレ2を着けて試してみたのですが、血糖値が上がりにくかったですね」と、加瀬さん。
食事の後半はワインよりも一般的に糖質の高い日本酒を交えても大丈夫とのこと。せっかくなので、お薦めの日本酒も交えながら食べることに。




5品目の焼き物は金目鯛。
なんと、中学時代に加瀬さんと剣道部で一緒だった友人が神津島で漁師をしていて、その日獲れた中で一番の金目鯛を卸しているとのこと。
沖で獲れる金目鯛は近海のものに比べて脂がのりすぎていない。皮目に油を塗って焼くことで旨味と食感を引き出しているため、軽やかでありながら深い味わいが印象的。
日本料理では控えられることが多いが、油はロカボでは血糖値を上げにくくする味方だ。



八品目は加瀬さんのスペシャリテでもある、南足柄産の相州和牛の炭焼き。
香り高く、ひと噛みごとにじわりと肉が持つ豊かな味わいが広がる。濃厚だけれど、重くはない。いつまでも食べていたいおいしさ。
タレに使っている自家製の山椒醤油も欠かせない役割だ。3年間継ぎ足しながら熟成させ、肉とは違う深い旨味を生み出している。




たっぷり飲んで食べて、気づけば3時間近くが過ぎていた。
あまりのおいしさに、こまめに血糖値を見ることは途中で諦めてしまったが果たして……。
恐る恐るアプリで血糖値を見ると、グラフはまったく予想していない動きをしていた。なんと、食前からほぼ横ばいに推移しながら、一時はむしろ下がっていた!最初から最後までおいしくて、何一つ制限した感覚もなく食べ続けたのに、血糖値はむしろ下がる。こんなにうれしいことがほかにあるだろうか。
「やっぱり、おいしくないものは続かないじゃないですか」という加瀬さんの言葉が身にしみる。これなら、何度でも食べたくなる。
今回、「石葉」の朝食、「荒井商店」の昼食、「ランブル」のおやつ、「お料理 加瀬」の夕食を通じて、「これまで考えていた“ロカボ”へのイメージと全然違っておいしい!」ということを強く感じた。各店それぞれに、ロカボになることはもちろん、なるべくおいしくしようという工夫がちりばめられていて、街全体で取り組みをしていることの凄さを実感した。
今回行けない店もまた機会があれば行ってみたいな、と思っていたらフードナビゲーターの柴田さんから「2026年度も湯河原でロカボ事業は続きます。宿やお店も増え、生産者やお土産品も加わりそう」との朗報が!次はどんな順番で巡ろうか。今から待ち遠しくなる。
撮影:阪本 勇 文:折敷出 陸(編集部)