心ふるえる酒2026
【U35 次世代の燗つけ師たち Vol.3 経堂「つきや酒店/つきやのsumi」柱 知香良さん】60mlから燗できます!試せる学べる角打ちのお燗番

【U35 次世代の燗つけ師たち Vol.3 経堂「つきや酒店/つきやのsumi」柱 知香良さん】60mlから燗できます!試せる学べる角打ちのお燗番

2026年日本酒dancyu「出会えてよかった!心ふるえる酒」特集では、いつもとはちょっと違った角度から「燗酒」の世界を深堀り。自由な感覚で新しい燗酒の楽しさを体験させてくれる、4人の若手燗つけ師をフィーチャーしました。3人目は経堂「つきや酒店/つきやのsumi」の柱 知香良さんです。

柱 知香良さん(はしら・ちから)

柱 知香良さん(はしら・ちから)

1997年生まれ。経堂「つきや酒店」の四代目。酒屋を営む傍ら、家族で角打ち「つきやのsumi」に立つ。元体育教師というユニークな経歴も。

寺子屋気分で燗酒を学べる角打ち。燗酒を探求し、燗酒を言葉で伝える熱血伝道師

世田谷区経堂の「つきや酒店」は、昭和5(1930)年創業の老舗酒販店だ。併設する角打ち「つきやのsumi」でお燗番を務めるのが、3人目の柱知香良さんである。地元住民や近くにある東京農大の学生など、およそ8割の客がご近所さんで、週末ともなれば昼から席が埋まり、柱さんに燗酒のオーダーがポンポン入る。どんなに忙しくてもこの笑顔(↑上の写真を見て!)。日本酒のポテンシャルが上がる燗つけが楽しくて仕方ないのだ。

店には父・泰正さん、母・潔子さんとともに立っている
つまみは約15品。すべて母・潔子さんの手づくりだ。角打ちのレベルを超えた美味しさにつまみ目当ての客も

根っからの凝り性。気がつけば、ちろりや酒器など燗つけ道具が増えていた。「この酒はどの道具を使い、何度まで上げたら美味しさを引き出せるだろうか」。細やかに検証して分析し、不明な点があれば文献や論文に当たる。

それを平易な言葉で表現し、客と共有できるようにするのが柱さんの考えるお燗番の仕事だ。もし気になる一本を見つけたら、柱さんに相談しながら道具や温度違いで徹底的に飲み比べを。60mlから燗をつけてくれるから、そんな実験めいたことも可能なのだ。

テーブルの上が空の徳利や猪口で埋まる頃には、飲んで学んだ充実感に満たされる。「ここは燗酒の寺子屋ですね」。そんな感想をこぼすと「僕、元教師なんです」と柱さん。近くにあったら、毎晩のように“通学”したい。(ラスト、Vol.4に続きます!)

柱さんの燗スタイル

日本酒
酒の個性に合わせて銅、錫、ステンレス、アルミのちろり、ガラス、磁器、陶器の徳利を使い分け。燗銅壺は2台。90℃で燗つけし、60~70℃で保温。吟醸系のお酒は香りをキープするため、ラップして燗にするというテクも!

酒を食材に、道具を調理法にたとえるのは髙崎さん譲り。銅のちろりは“焼き料理”。熱伝導が早くキレのよい味に。熱伝導が遅いガラスは“蒸し料理”。味わいを変えずきれいに温まる。酒の味がまろやかになる錫は“煮込み”。

2月5日発売! 日本酒dancyu vol.3
2月5日発売!日本酒dancyu vol.3
日本酒dancyu vol.3「出会えてよかった!心ふるえる酒」特集、好評発売中!酒のプロや愛飲家が個人的に惚れ込みつい熱く語ってしまう「人に教えたくなる酒」ほか、2026年に飲んでおくべき日本酒がわかる、とっておきの情報をお届けします。

A4変型判(160頁)
2026年2月5日発売/1,800円(税込)

文:佐々木香織 撮影:阪本勇

佐々木 香織

佐々木 香織 (ライター)

福島出身の父と宮城出身の母から生まれ、東北の血が流れる初老の編集ライター。墨田区在住。食べることと飲むことが好き。お酒は何でも飲むが、とくに日本酒と焼酎ラヴァー。おもな仕事は新聞やウェブでの連載、雑誌や書籍の編集・取材・執筆。テーマは食べもの、お酒、着物など。

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