
食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「dancyuおやつ倶楽部」で、メンバーから寄せられた美味しいおやつをご紹介!倶楽部メンバーに「年末年始に食べたい美味しいおやつ」を教えてもらいました。2025年の〆となる「日本おやつ図鑑」第43回は、金沢で新春を祝う定番の和菓子――新年のご挨拶やお年賀にふさわしい、「森八」の「福梅」です。

目にうららかで、味わいはしっかり骨太。
加賀百万石の城下町・金沢の新春を彩る祝菓「福梅」は、昔ながらの製法を今も守り続け、一般的な最中とは異なる、“バリッ”と厚く固めに焼き上げた皮が自慢。
米飴を加えたコシの強い黒小倉あんは、小豆を皮付きで炊くことで、餡の風味がより濃く感じられるだけでなく、粒のごろっと感が、分厚い最中に負けじとインパクトを残す。
こうして噛みしめるほどに味わい深い最中「福梅」は、創業400年を誇る加賀藩御用菓子司(かしつかさ)「森八」で毎年11月20日〜1月10日に限定販売される、冬の顔だ。

「森八」は、始祖・亀田大隈が清和天皇の系譜に連なる清和源氏の末裔であり、16世紀には前田利家に武将として仕えたという歴史をもつ、金沢を代表する菓子舗。
「日本三大銘菓」の一つとされる落雁「長生殿(ちょうせいでん)」を創製したことでも知られ、時の後水尾天皇に献上されたほか、累代の徳川将軍家への献上品として重用されたという。
また、藩主前田家の家紋「剣梅鉢」に由来する「福梅」は、藩政時代後期から愛され続けてきた、格式高い迎春菓。ぜひ濃いお茶と合わせて一服、新年のスタートを切っていただきたい。

文:藤井存希 写真:MURAKEN
森八さんのお菓子は、他にも色々。通年で好きです。