健康dancyu
【"なんとなく"で食べていない?ヨーグルトの本当の実力①】ヨーグルト神話を検証!果たして体にいいの?

【"なんとなく"で食べていない?ヨーグルトの本当の実力①】ヨーグルト神話を検証!果たして体にいいの?

ヘルシーなイメージが定着している食品といえば、ヨーグルト。スーパーに行けば、たくさんの種類のヨーグルトが並んでいます。でもそもそも何が体にいいんだっけ?上手なとり方は? 意外と知らずに食べていたヨーグルトの実力を、食いしん坊倶楽部メンバーで医師の三浦雅臣さんにうかがいました。

ヨーグルトのいいところって?

おいしくてヘルシー、そのうえ手軽に食べられるヨーグルト。デザートとしてそのまま食べるのはもちろん、グラノーラやフルーツと合わせて朝食に、というのが習慣になっている人も多いのではないでしょうか。
でも体にいいのはなんとなくわかっているけど、何がどういいの?いつどのくらい、どうやって食べるのがいいの?続けないとだめなの?身近なだけに、実はちゃんと知らないことも多いヨーグルト、ここでしっかりおさらいしておきましょう。

ヨーグルトの健康面での一番の特徴は、乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌の宝庫であるということです。これらは医療現場でも整腸剤として処方される有用菌ですから、毎日の食事でそれがとれるということは、腸内環境の改善に大きく役立っているといえます。腸内の善玉菌が増えると、糖や食物繊維を発酵、分解して乳酸や酢酸を作り出します。それらがぜん動運動を活発にして便通をととのえて老廃物の排出を促すほか、免疫に関わる抗体の産生に関わり、免疫力アップにつながります。
ほかにもヨーグルトは良質なたんぱく質や、消化吸収のいいカルシウムの供給源にもなり、老化予防、美肌作り、糖代謝をアップ、コレステロール値の改善、睡眠の質向上、骨の健康をサポートなど、さまざまな効果が明らかになっています。乳糖不耐症や乳製品アレルギーなど、乳製品が体質的に合わないということでなければ、どんな人にも幅広くおすすめできる健康食品といえます。

ヨーグルト

継続は力なり。適量を続けて体を変える

とはいえ、たくさん食べれば食べただけいいというものでもありません。ヨーグルトには糖や脂質も含まれているので、とり過ぎれば肥満の原因になります。特に甘味料などを含む甘いヨーグルトは、善玉菌などの健康効果はあるとしても、食べ過ぎには要注意。いくら健康にいいからといっても、カロリーや糖質を気にしている人は、無糖のプレーンヨーグルトにしておくのがおすすめです。
では上手な食べ方ってあるのでしょうか?ヨーグルトは“発酵乳”と定義された乳製品です。国際規格では、1ml当たり1000万個の乳酸菌を含むものとされています。100ml入りのヨーグルトを食べるとおよそ10億~50億個くらいの乳酸菌を摂取できます。実は腸内細菌の数は100兆個以上の細菌が棲みついていますので、割合としてはそれほど多くはなく、一度食べたくらいでは大きな変化はないと思いますが、乳酸菌は長く腸内にとどまることはできませんし、腸内細菌は日々ダイナミックに変化しています。続けて摂取して善玉菌を取り入れていくことで、長期的に見れば、体は変わっていくものと思われます。

知ってる?プロバイオティクスとプレバイオティクス

食べ方に関していえば、一緒に食べた方がより健康効果が高まるものがあります。
プロバイオティクス、プレバイオティクスという言葉をご存知でしょうか?プロバイオティクスは微生物自体、ヨーグルトでいえば乳酸菌やビフィズス菌のことをいいます。プレバイオティクスは、プロバイオティクスの“えさ”になる成分、たとえばオリゴ糖や食物繊維のこと。この両者を合わせてとることで、相乗効果で腸の動きがよりよくなるのです。つまり、ヨーグルトにバナナやきな粉、はちみつなどはなかなかよい組み合わせ。フルーツならGI値の低いブルーベリーやいちご、りんごなどもよいですね。ヨーグルトだけを食べるのは味が単調になり食べ飽きてしまうこともありますから、プレバイオティクスとなるものを上手にチョイスするとよいでしょう。
ただし、甘いフルーツなどをたくさんとり過ぎると、脂肪を合成する力の強い果糖を過剰にとることにもつながりますので、適量を上手に合わせることが大切です。

ホットヨーグルトって、実際どうなの?

ヨーグルトを温めて食べる「ホットヨーグルト」が話題になりましたが、これはどうなのでしょう。結論としては、体が温まることで血流がよくなったり、腸も活発に動いたりしますので、よい食べ方だと思います。ヨーグルトは基本冷えたものを食べることが多いので、冷え性の女性や、寒い冬に冷たいものを食べたくないときにもおすすめです。
気をつけたいのは、ヨーグルトの乳酸菌やビフィズス菌は、60℃以上になると死滅してしまうこと。より強い健康効果を期待するのであれば、人肌程度(約40℃)に温めるくらいにとどめましょう。電子レンジで軽く温める程度がよいようです。
とはいえ、加熱で死滅してしまった菌もまったく効果がないわけではなく、善玉菌のえさになることがわかっています。よくカレーやラム肉の煮込みなどにヨーグルトを加えることがありますが、その場合も腸内環境をととのえる働きは残っています。料理にヨーグルトを使うのも、取り入れ方のひとつとしてよい方法です。

食べるタイミングで効果は変わる

ヨーグルトを朝食べるのが習慣になっている人もいると思います。確かに乳製品はパン食の多い朝食に組み込みやすいですよね。朝食としてヨーグルトを食べるのは、目覚めのスイッチとしても効果的です。寝ている間に下がった体温を上げるたんぱく質もとれるし、脳の唯一のエネルギー源である糖質もとれるので、朝ヨーグルトはおすすめです。
夜食べるヨーグルトはどうか。腸が修復される夜は善玉菌が届きやすいということもありますし、よい睡眠のためにヨーグルトが効果的という話もあります。カルシウムは夜食べた方が吸収率がアップします。あまり遅い時間に食べるのはおすすめできませんが、寝る2~3時間前であれば、夜に食べてもいいでしょう。
寝酒が習慣になっている人は、たまには休肝日を設けて、お酒の代わりにヨーグルトを食べるというのはいかがでしょう。特に夜にお酒を飲まないとなんとなくもの足りない……という人は、ヨーグルトでおなかも落ちつきますし、体への負担もグッと減らすことができますよ。

よく「生きて腸まで届く乳酸菌」などというヨーグルトの宣伝をみかけますが、善玉菌を生きたまま腸に到達させるためには、食後に食べた方がよいという説もあります。空腹時の強い胃酸の影響を受けにくくするからです。しかし前述の通り、死滅してしまった菌にも健康効果はありますので、そのあたりはあまり気にしなくてもよいかもしれません。

次回は「自分に合うヨーグルトの見つけ方」についてお話ししたいと思います。

教える人

三浦 雅臣先生

東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 助教。2014年東京大学医学部医学科卒業。2021年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了・卒業。糖尿病や肥満症を専門に、最近では老化や睡眠、味覚についても探究を深める日々。

編集:出口雅美(maegamiroom) 文:久保木 薫 写真:Shutterstock

  • dancyu
  • 読む
  • 健康dancyu
  • 【"なんとなく"で食べていない?ヨーグルトの本当の実力①】ヨーグルト神話を検証!果たして体にいいの?