東京町焼肉最前線!
【明大前の隠れた名店】選べる5種盛りのパターンは1287通り!焼肉『ソウル苑』に行ってみて!

【明大前の隠れた名店】選べる5種盛りのパターンは1287通り!焼肉『ソウル苑』に行ってみて!

この数年、東京の町焼肉が劇的に進化している。今回ご紹介するのは、食いしん坊倶楽部LINEオープンチャット「焼肉部」はっけぃさんからの推薦店、明大前の「焼肉ソウル苑」です。

自由度の高い“お好み五点盛り”に注目!

ロースターの上でじゅうじゅうと肉が灼ける焼肉店で、凍らせたジョッキで生ビールが供されたら理屈抜きにうれしい。そんなのは問答無用だ。

ビール
キンキンに冷えた生ビール。

京王線の明大前駅の改札からすずらん通りへと抜けて徒歩1分。知る人ぞ知るハンドメイドギターの名店「花村楽器」の少し手前に、創業50年を迎える焼肉店「ソウル苑」がある。

入口

dancyu食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャットの分科会「焼肉部」メンバーのはっけぃさんからのおすすめ店だ。

はっけぃさん
はっけぃさん
こぢんまりとした店内は、いつも活気で溢れています。ネギ塩サンドのタンもボリュームがあって美味しいです。高級店に負けない町焼肉店。ちょっとしたお祝いごとや記念日にも良いし、会社帰りに寄ったりできるお財布にも優しいお店です!

推薦文にもあるように、名物は「極ネギタンサンド」。厚切りのUSタンをいなり寿司のように開いて、ネギみじんをぎゅうぎゅうに詰め込んだ一皿だ。

ただし1人前は6切れ。2名で食べるには全体のバランスが取りづらい。さてどうするか……と悩んでいたら、オーナーの清水直樹さんが「ほとんどの皿はハーフ盛りにもできますが、お好み五点盛りはどうでしょう?」と切り出した。

好きな五点の肉を選べるセットで各2枚7,150円、3枚10,450円、4枚13,750円とこれはオトク感満点!しかも選べる5点の候補に驚いた。看板メニューの「極ネギタンサンド」のほか、和牛のザブトン、イチボ、ランプ、和牛のハラミやサガリなどの希少な肉も盛り込まれている。

国産牛のタンを切り出した「特選牛タン塩」(薄切りor厚切り)に至っては、薄切りと厚切りの両方を選んでもいいという。なんという慈悲深さ……。ダライ・ラマか!

ご厚意に甘えて遠慮なしに肉を選ぶ。まず極ネギタンサンド。特選中タン塩は、薄切りと厚切り、あとは和牛ハラミに和牛タテバラという5種を選択した。

タテバラという名前は最近の焼肉店ではあまり見ないが、ざっくり言うと特上カルビ。「これぞ焼肉!」という郷愁と官能をかき立てられる部位で、肉もサシも甘く濃厚な味わいが特徴だ。

それに事前情報で仕入れていた分厚い和牛肉のセット「特選王道三点盛り」も注文。まずは合計8種の肉で様子を見ることに。
肉だけではいけない。まず肉の前に気まぐれキムチ(菜の花)にキムチ盛り合わせ、ムンチュ(サラダ)とおつまみ茹でタンで、キンキンの生ビールをグイッと飲る。

おつまみ茹でタン
この日の日替わりはおつまみ茹でタン。日によっては煮込みなども。

「ジョッキを凍らせるのは、冷蔵設備を入れ替えた数年前からですね、空きジョッキの回収と洗浄にも力を入れているので、生ビールはたいてい凍ったジョッキでお出しできます」(オーナーの清水さん)

迎えた客の数だけ、細やかなサービスが積み上げられる。それが老舗だ。

ビールが2杯めに差し掛かる頃、「お好み五点盛り」が木の板に盛られてやってきた。さすがの老舗、いまどき焼肉店でも取り合いになる、和牛のハラミや国産牛のタンがこともなげな顔をして鎮座している。

肉
左からハラミ、タテバラ(下)、特選中タン塩薄切り(上)、極ネギタンサンド、特選中タン塩厚切り。
極ネギタンサンド
極ネギタンサンドは裏から見ると、ネギみじんがぎゅうぎゅうに詰められているのがよくわかる。

まずはさらりと特選中タン塩から。薄切りは片面に深い焼き色をつけて、裏側は軽く炙る。厚切りは両面にバリッとした焼き目をつけながら、内側まで熱を加え、弾力を引き出していく。

手元の調味用の仕切り皿は、レモン塩、わさび、バルサミコソース。もちろんおなじみの焼肉のタレの用意もあるが、タイプの異なる酸や刺激で客の好みを全方位的にカバーする。

薬味

そしていよいよ、シグネチャーの極ネギタンサンド。パンパンに詰め込まれたネギみじんを蒸し焼きにしつつ、こぼれないよう添えられたスプーンで押さえて返すのが常道……だけど焼けたねぎの香ばしさや、生の辛味だって捨てがたい。

まずは詰め込まれたネギみじんを少し皿に取り置き、牛タンは両面にがっつり焼き目をつける。その後、ロースターで焦がしネギを作って香ばしさをタンに纏わせていく。蒸されて甘やかに変貌したネギみじん、直火で炙ったネギの香ばしさ、生のシャクッとした清涼感というネギのトリプルコンボだ。

牛タン
焦がしたネギの香りもまとわせる。

タンの表面に深い焼き色がつく頃、極ネギサンドは内部のネギみじんが蒸されてちょうどよい加減になる。あとは残りのネギで清涼感を調整する。

ステーキ登場!?いや、焼肉です。

そんな折に登場した「特選王道三点盛り」(ザブトン、カイノミ、イチボ)。こちらはステーキが3枚提供されたかのようなボリューム感(なんと合計200g!)。分厚い肉の両面に焼き目を塗り重ねるよう、時々休ませながら焼いていく。

肉
特選王道三点盛り2,800円 左からイチボ、カイノミ、ザブトン

タテバラやハラミも薄くなく、それでいて厚すぎず。最近、和牛のハラミがある店では厚切りばかりを注文していたが、7mmくらいのハラミの食感もまた心地いい。表裏をガッと焼き込んで一気に仕上げるライブ感が焼肉の楽しさと奥深さを再認識させてくれる。

肉

焼肉というリレー競技の最終走者は客という焼き手だ。焼いて休ませ、休ませて焼いて。

いい肉を焼かせてくれる老舗の懐で、僕たち焼肉好きの肉焼きは鍛えられる。また今日も肉が好きになった。

店舗情報店舗情報

焼肉ソウル苑
  • 【住所】東京都世田谷区松原1‐38‐8
  • 【電話番号】03‐3325‐2462
  • 【営業時間】火~金11:30~15:00 17:00~0:00、土日祝16:00~0:00
  • 【定休日】月曜
  • 【アクセス】京王線「明大前駅」より1分

文・写真:松浦達也

松浦 達也

松浦 達也 (ライター/編集者)

東京都武蔵野市生まれ。家庭の食卓から外食の厨房、生産の現場まで「食」のまわりのあらゆる場所を徘徊する。食べる、つくるに加えて徹底的に調べるのが得意技。著書に『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)、『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(共にマガジンハウス)ほか、共著に『東京最高のレストラン』(ぴあ)なども。主な興味、関心の先は「大衆食文化」「調理の仕組みと科学」など。そのほか、最近では「生産者と消費者の分断」「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター。