
食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「山手線!本気の昼飯マップ」で、メンバーから寄せられたランチメニューを徹底解剖してお届け。第6回は、神田『やきとり 日本酒 ふくの鳥 神田店』の「おかずが選べる定食3品」です。
この店の「おかずが選べる定食」は、チキン南蛮や鶏じゃが、五目とろろ黒豆納豆など9種類から好きなものを選べます。お気に入りは「鶏と8品目野菜のせいろ蒸し」。さらに、いりこ出汁ブレンドで麦味噌ベースのお味噌汁と土鍋でふっくらと炊いた白米が、いくらでも食べられそうなほど美味しい。両方おかわり可なので、いつも2杯ずついただいています(笑)
JR・東京メトロ「神田駅」北口から徒歩1分。酒場が立ち並ぶエリアに『やきとり 日本酒 ふくの鳥 神田店』はある。『ふくの鳥』は炭火の焼き鳥に定評があるチェーン店。東京都内で20店舗近く展開しているが、実は神田店はフランチャイズ店舗でありながらもオーナーの意向で独自の営業をしているのだ。ランチでは厳選した食材を使い、神田店オリジナルのメニューを取り揃えている。
食いしん坊倶楽部の推薦者、しゅりさんが教えてくれた「おかずが選べる定食」は2品1,200円と3品1,500円がある。おかずの種類は「チキン南蛮」「唐揚げ」「鶏と8品目野菜のせいろ蒸し」「鶏じゃが」「鶏ももの塩麹漬け焼」「おかず鶏つくね」「本日の日替わりサラダ」「鮭の西京焼き」「五目とろろ黒豆納豆」の9種。さすが夜は炭火焼き鳥を出す店だけあって、圧巻のラインナップだ。気になるおかずばかりなので、ここは豪勢に3品でいこう。
選んだのは「チキン南蛮」「鶏と8品目野菜のせいろ蒸し」「鮭の西京焼き」の3つ。なんといっても鶏肉が美味しい!主に使用している鶏肉は千葉県の名水の郷・佐原で育った水郷赤鶏と、旨みとコクのバランスが抜群の錦爽どりの2種類。いずれも弾力があってジューシーで、滋味深い味。「チキン南蛮」は、刻んだピクルスとらっきょうを混ぜ合わせた甘酸っぱいタルタルソースが鶏肉と絡み、後引く旨さ。「鮭の西京焼き」は焼いた香りと味噌の甘みが合わさった力強い味わいで、これだけで茶碗1杯分のご飯を食べられそう!しかもしゅりさんの推薦コメントにもあったように、土鍋で3合ずつ少量炊きの白米は香りがよくて噛むほどに甘味が広がり、どんどん箸が進むのだ。
「味噌汁は九州でよく使う麦味噌と西京味噌をブレンドしています」
とは、店主の上野真史さん。
「実は私の両親が福岡県出身なんです。九州で味噌といえば麦味噌。自分のルーツにつながる食材を使いたくて。さらに鰹出汁といりこ出汁をブレンドし、味に奥行きをつけています」
よく見ると、店内のいたるところに日本酒の一升瓶が置いてある。メジャーな銘柄から、初めてお目にかかるようなものまで、なんとも種類が豊富。和製アンティークの家具が並ぶ店内の雰囲気と相まって、なんだか昼から燗酒気分になってくるではないか……!思えば「チキン南蛮」も「鮭の西京焼き」も、白米にもよく合うが、酒のアテにしたくなる奥行きのある味わいでもある。これは、夜も再訪するしかない。
「日本酒リストは常時約40銘柄揃えていて、年間1000銘柄入れ替わります。抜栓後のコンディションも常にチェックしており、最適な状態、温度で提供しています。時には酒屋から購入後、味が開くまでお店の貯蔵庫で保管しておくことも。酒器も作家ものを中心に、その時の気分や好みに合わせて選んでもらえるようにさまざまなものを用意しています」と、上野さん。
「ランチの定食のお米をわざわざ土鍋で炊いているのは、ここが日本酒のお店だから。日本酒といえば米ですよね。だから、米を大切にしていることをランチメニューでも表現したかったんです」
チェーン店のランチとあなどるなかれ。『ふくの鳥 神田店』の「おかずが選べる定食3品」は、食材選びから調理法に至るまで真摯な仕事が行き届いた、食いしん坊を心底満足させてくれる本気の昼飯なのだ。
文:吉田彩乃 写真:伊藤菜々子