
食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「山手線!本気の昼飯マップ」で、メンバーから寄せられたランチメニューを徹底解剖してお届け。第14回は、目白『目白 旬香亭』の「フライ&ハンバーグ」です
軽やかな衣をまとうフライや丁寧な仕事が深い味わいにつながっている洋食は、永遠に食べていたくなる美味しさです!
『目白 旬香亭』は、JR「目白駅」から徒歩1分の場所に位置する正統派の洋食屋だ。全面ガラス張りの大きな窓からは目白の街や向かいの学習院大学に生い茂る木々が見え、天気のいい日には清々しい気分でランチを楽しめる。
食いしん坊倶楽部の推薦者、ルロワさんおすすめのランチメニューは「ハンバーグ&フライ」。ハンバーグ、コロッケ、エビフライと洋食の王道とも言える3品が並ぶ贅沢なプレートだ。
ハンバーグは外側はこんがりと香ばしく、中はふっくらとやわらか。デミグラスソースはコクがしっかりとしているが軽やかさもあり、いつまでも食べていたくなる優しい味わいだ。エビフライの衣はさっくりとした食感で、エビはプリっとしていて旨みが濃い。エビフライと同じく軽やかな衣をまとったコロッケは、中身が驚くほどクリーミーだ。
さらに、脇に添えられたポテトサラダも主役級のおいしさ。マヨネーズのなめらかさとじゃがいもの甘い香りに一体感があり、これだけでもワインが進みそうだ(できることなら、『目白 旬香亭』のランチはぜひお酒とともに楽しみたい)。フワッと盛り付けられた千切りキャベツに皮を剥いたトマト、切り込みを入れたきゅうりと、生野菜も一つひとつ丁寧に仕事されているのが嬉しい。
『目白 旬香亭』の料理の魅力は、旨味がしっかりしていながら軽やか、かつ優しい味わいであること。ハンバーグやビーフシチューなどどの料理にも通じる特徴だが、その中でも特に多くの食通を唸らせてきたのがフライだ。サクサクっとした歯触りで、揚げ物のイメージを覆すほど軽やか。具に衣を「つけている」のではなく「まとわせている」と表現したくなるほど、フワッとしているのだ。
なぜ、ここのフライは感動的に軽やかなのか。料理長の古賀達彦さんにつくり方を聞いてみると、衣の下地となる薄力粉に天ぷら粉を混ぜたり、食材に合わせて生パン粉を粗挽き・中挽き・細挽きと使い分けたりするなど、いくつものポイントがあった。
「エビフライとコロッケはボリュームが出るよう、粗挽きの生パン粉を使います」
と、古賀さんは話す。
ポンポンッと弾むようにしながら食材に生パン粉をまとわせていく手つきには、熟練の技が光っていた。ハンバーグの種をこねるとき、フライに生パン粉をまとわせるとき、きっと、料理人の手技が味の一部となってゆくのだろう。『目白 旬香亭』のランチメニュー「ハンバーグ&フライ」は、そんなことを実感させてくれる一品なのだ。
文:吉田彩乃 写真:伊藤菜々子