宮崎県産の完熟マンゴー生産量の僅かに0.3%の「みやざき完熟ミニミニマンゴー」。1玉50g~80gだから、ひと口でマンゴーの全てを味わえます。受粉が不完全だったため、種が極めて薄く、満足度は◎。ですが、実は完熟マンゴーとしては失敗作で、作ろうと思って作るものではないのにもかかわらず、うまい!地元で人気のため一般店頭に並ぶことはほとんどありません。
年によって違うが、日本のマンゴー輸入量は7,500トンほど。国産は3,500トンほど。
宮崎県産は900トンほどで、2Sサイズのミニミニマンゴーは、その内0.3%程度だから、計算すると2.7トン(400gパック換算で6,750パック)しかない。1パックを平均6玉とすると約40,000個しかない計算になる。 『皮を手で剥いて、丸ごと口に放り込んで、薄いタネを出す!』の単純行為で、これだけ幸せになれるフルーツは珍しい。
イチゴでもビワでもサクランボでも、この妖しい幸福感は味わえない。ライチやマンゴスチンもそうだが、小粒のトロピカルフルーツの魅力は何故か妖艶だ。
1985年、果樹の施設栽培強化の目的で行われた、沖縄のハウスみかんの視察が早く終わったため、試験的に栽培されていたハウスマンゴーを見学した際、マンゴーを食べて感動したJAの職員が、ハウスマンゴー部会を立ち上げたのが始まり。
1988年、初収穫したマンゴーの東京での試験販売は、見た目と味と価格の総合点で、輸入マンゴーとの差別化が出来ず惨敗。加温ハウスのコストを考えると品質向上しか道はなく、宮崎のマンゴー栽培技術は独自の進化を遂げる。『たまたま熟して落ちてしまったマンゴーを食べたら、凄く甘かった!』がヒントになり、今では誰もが知る 『ネットに完熟マンゴーが落ちる』 技術を確立し、さらに、「太陽のタマゴ」ブランドをぶち上げ、みやざき完熟マンゴーは最高級フルーツの一角を占めるまでになった。
北部インドからマレーシアにかけてが原産地とされるマンゴー。花の数は品種と木の大きさで違うものの、数万~数十万の花が咲くが、結実率は0.1~0.02%と極めて低い。インドでは仏教の悟りを開くことが難しい喩えに使われるほど、マンゴーの受粉は難しい。農家は受粉の成否を判断し、摘果を行う。受粉したと判断して残したが、実際には受粉に失敗し、大玉にならないで熟したのがミニマンゴーと呼ばれる。つまり、腕の良い農家はミニを作らない。みやざき完熟ミニミニマンゴーは偶然の超美味なのだ。
文:(株)食文化 萩原章史