パティとバンズのバランスが良くて、炭火の香りをまとっている……ハンバーガーの原点のような美味しさを改めて感じられる一品に出会いました。さらに、“土佐ジェノベーゼ”ソースで新たな味わいも楽しめるというダブルの驚きがありました。
どんなに素晴らしい鮪を使っても、酢飯がダメだと鮨としては美味しくないですよね。逆に高い鮪でなくとも酢飯との相性がバチっと決まれば鮨として美味しく感じます。もちろん、いい鮪といい酢飯がバランスよく合っていると極上の味わいになります。ハンバーガーもパティとバンズの質はもちろん、そのバランスが重要です(パティが美味しいのに、バンズが弱くて残念、というケースも実際によくありますよね……)。そんな極上のバランスに高知で出会いました!
「5019 PREMIUM FACTORY」は高知市の中心部にお店があり、そそり立つほどボリューミーな“龍馬バーガー”などが人気なのですが、2023年にオープンした南国店の“土佐備長炭バーガー”はハンバーガーのシンプルな美味しさ、原点の味わいを楽しめます。
実は、正式オープン前の試作をしているときに食べさせてもらったのですが、牛肉の旨味が凝縮し炭火の香りをまとったパティが旨い!それに負けないしっかりした歯触りと適度な旨味のバンズの相性が素晴らしい!じっくり炒めて甘味が出た玉ねぎを敷いたら、ソースが要らないくらいでした。ああ、ハンバーガーの旨さってこういうことだった、と思い起こさせてくれるような原点の味わいです。
しかし、そこに登場したのが“ぬた”を使った鮮やかな緑色の土佐ジェノベーゼソース。“ぬた”とは、葉にんにくと酢、味噌などでつくる高知独特の調味料(かなりにんにくが強い)で、これをアレンジしてハンバーガーのソースにしたのです。“ぬた”は、通常は生魚やこんにゃくなどにつけるものですが、肉にも合う! ハンバーガーのソースとして新しい旨味を引き出してくれます。原点のようなシンプルな美味しさと新しい味わいを両方楽しめました。
そして後日、正式オープン後に店を訪れて“土佐備長炭バーガー”を注文してみました。基本のパティとバンズに、ソースを3種類選べるようになっていました。土佐ジェノベーゼ以外に、タルタルソース、スパイシートマトソース、BBQソース、オーロラソース、デミグラスソース、マヨネーズ、ケチャップ、マスタード。もちろん土佐ジェノベーゼに加え、タルタルソースとBBQソースを選択。さらに、野菜もレタス、トマト、フレッシュ玉ねぎ、ソテー玉ねぎ、マッシュポテト、ピクルス、なす、ピーマン、季節の野菜(この日はきのこ)から3種類を選択できます。ソテー玉ねぎ、ナス、きのこを選んだのですが、他にチーズやベーコンなどのトッピング(有料)もあり、組み合わせパターンはものすごい数になります。
試作のときはシンプルな組み合わせで食べましたが、野菜やソースのトッピングもそれぞれがしっかりした味わいなのですが、パティとバンズのシンプルな美味しさと力強いバランスはしっかり感じられます。ゆるぎない味わいが感じられるのが素晴らしい。
毎日食べても飽きない、王道の旨味と軽やかな味わいのバリエーション。毎日行って、ソースとトッピングの組み合わせを制覇したい……あ、高知に移住しないと無理か。
文・写真:植野広生