本ソーキそば、ラフテー、ゴーヤーチャンプルー。沖縄料理に注目が集まる今、家でつくりたい気持ちに応える一冊があります。教えてくれるのはあの二人!ーーお腹がすく新刊を紹介するdancyu本誌の連載「今月のハラヘリ本」。dancyuWEBでは、そこで紹介した書籍を、もう少し深く、詳しく、おいしくご案内します。
監修=オカズデザイン/オレンジページ 1,540円
オカズデザインは、吉岡秀治さん・吉岡知子さんによる料理ユニット。書籍や雑誌でレシピ提案をする(『四季 dancyu』でも器と料理のページを連載中)ほか、映画やドラマの料理監修も数多く手掛ける。
朝ドラ「ちむどんどん」もその一つだ。
沖縄出身のヒロインが奮闘するストーリーなだけあって、数々の沖縄料理が登場する。 放送に合わせて、物語に沿ったレシピ本も発売されたが、 本著『沖縄食堂ごはん』はまた少し、様子が違う。
今回、監修にかかわる上で、沖縄へ何度も足を運んで多くの方から知恵を教わり、素晴らしい人や食材との縁を得たという二人。
そうしてたっぷり吸収した経験を「もし、とびっきりおいしい小さな沖縄料理店があったらなら」という妄想と理想で膨らませて形にしたのが、本著である。 フーチバーやイーチョバーなどの香り高い島野菜、できたて熱々に感激した自家製ゆし豆腐、甘党も左党も笑顔にするおやつ……。
中でも印象的なのは「恵みの食材、豚肉」の章の“スーチカー(塩豚)”。皮付き三枚肉に塩をして熟成させるものだが、これは、オカズデザインがテーマに掲げる“時間がおいしくしてくれるもの”に、ぴたりと符合する。冒頭を飾るにふさわしい、納得のメニューである。
レシピ以外にも、代表的な島野菜の一覧、「いるだけで楽しい」直売所案内、沖縄の木材を使う漆器作家の紹介など、 コラムページも充実。
この本のカメラマン・加藤新作氏の重厚感ある写真もため息が出るほど美しく、 ページをめくるうちにじわじわと沖縄料理の世界へいざなわれる一冊だ。
書影の撮影:三浦英絵 文:編集部