料理研究家・荻野恭子先生に習った手づくり豆板醤を誰が一番おいしくつくれるか。次の撮影までに宿題を出された取材陣は涼しい顔をしながらも、それぞれが負けまいと策を練っていた。先手を打ったカメラマンIに遅れること数週間、次に動いたのは編集のSだった。
世界各国の「おふくろの味」に精通し、自宅でも、保存食から調味料まで手づくりを実践する料理研究家の荻野恭子さん。現在、好評発売中の『四季dancyu2022夏』では、夏にぴったりな手づくり調味料2つを習っています。その一つが、そら豆からつくる豆板醤。「豆板」とはそら豆のこと。そら豆をゆでて小麦粉をまぶし、発酵乾燥をさせてそら豆から発酵臭がしてきたら、唐辛子と塩、水を混ぜて熟成させます。材料も少なく、プロセスもそう多くありませんが、やっぱり大事なポイントが。詳しいレシピは誌面でご紹介していますが、今回はこの撮影に携わった取材陣がそれぞれの自宅で手づくり豆板醤に挑戦。その体験記をご紹介しましょう。最後に、先生に味わってもらって誰の豆板醤が一番おいしいか評価してもらいました。
二番手は、編集S。自他ともに認めるおおざっぱな性格ですが、「家庭の手づくりはそれくらいでちょうどいい」と信じて疑わない様子です。
荻野先生から宿題がでた。テーマは、夏の『四季dancyu』で習った豆板醤をつくること。まずい。料理セミプロのライターSと違いのわかる男カメラマンIが相手に、明らかに私は、テキトーな性分だ。だってしょうがないじゃん、子供2人いて時間もないし、って今は言えるが、おそらくこの境遇でなくてもいつでもテキトーです、はい。
でも最初から負けにいくわけにはいかない。ここは主婦の強み、毎日台所に常に立っている時間を有効活用して「混ぜる」作戦に出る。朝起きて混ぜて発酵を促し、夜寝る前に混ぜる。これで2人よりもマイルドでこなれた豆板醤になるはず。意外に、一番おいしいかもよ?
文・撮影:杉下春子(編集部)