2021年11月に発刊した『神林先生の浅草案内(未完)』を片手に、浅草観音裏を中心とした掲載店をめぐる動きが自然発生していると言います。果たして、どんな動きなのでしょうか?
「“神林本”を片手に来店されて、ここにサインを下さいとおっしゃるお客様が結構いらっしゃるんです。私もお世話になった神林先生が綴ったお店を周りたいし、それならば、店主の方々のサインも欲しくなってしまって」
そう話すのは、浅草観音裏で「食堂うんすけ」を営む、嶋田智子さん。
『神林先生の浅草案内(未完)』では、152ページに「ママの人柄は、拍子抜けするほど肩の力が抜けている自由人。」と紹介されています。
ほかの掲載店の女将やマスターからも、「お客様に本にサインしてと言われちゃって」「サインは気後れするので、千社札を貼って差し上げました」といった声が聞こえてきます。
本を買って下さった方が、本に登場するお店を訪ねては、店主にサインやスタンプを求める動きが自然発生的に起きているというのです。
まるで、御朱印、あるいはスタンプラリーのようです。
それならばと、嶋田さんをはじめ、掲載店の有志が声を掛け合い、「お店で飲食をされたお客様が本にサインやスタンプを求めて来られたら、快く対応しよう」という了承を掲載店全店に告知。店主の方々の同意を得ました。
さらには、『神林先生の浅草案内(未完)』の世界と浅草という街をいっそう楽しんでもらうべく、こんな試みも。
以下がその概要です。
全店制覇できるかはさておき、手書きのサインやメッセージを書いてもらったり、スタンプを押してもらったりすると、訪ねたお店にも本にもさらに愛着が増すというもの。
街と人と本がつながる、うれしい現象です。
撮影:大沼ショージ、萬田康文(カワウソ)
1954年5月26日生まれ。東京都出身。教員生活43年。食べ歩き、飲み歩き歴46年。
都立一橋高校時代から食のランキング・ミニコミを刊行(おもに職場で配布)。下町エリアを中心に酒場、定食屋、バー、和・洋・中・エスニック料理店、その他と守備範囲は広範囲に及ぶ。なかでも“お母さん酒場"には並々ならぬ情熱を持つ。
食にまつわる書籍、雑誌、テレビ番組、ランキングサイトなど、リサーチにも余念がなく、自作のデータベースには行った店・約9200軒を含む1万5000軒の食の店や食の情報が整理されている。2020年8月24日逝去。