農家酒屋「SakeBase」の一年 ~田んぼの開墾から酒造りを始める酒屋~
西千葉の町に「雪だるま」があふれた日

西千葉の町に「雪だるま」があふれた日

「西千葉は魅力的な店が多いので、単にSakeBaseでお酒を買うだけでなく、街歩きも楽しんでほしい」。かねてより抱いていたSakeBaseのそんな思いから、12月10日~12日の3日間、西千葉駅の北口と南口で、「雪だるま」モチーフのケーキとお酒を楽しむイベントが開かれました。

地元菓子店とコラボ、「酒&ケーキ」で一足早いクリスマス

イベント名はその名も「SakeBaseサンタからの挑戦状」!

JR総武線で東京から向かうと、千葉駅の一つ手前。SakeBaseのある西千葉駅は、北口には千葉大学の広いキャンパスや4つの高校があり、南口には新旧取りまぜた魅力的な店が点在。今年2月には、ZOZOの本社が移転したことでも注目を集めた、大きくはないが個性的な町である。
SakeBase代表の宍戸涼太郎さんは、高校時代を過ごしたこの西千葉の町が大好きで、だからこそ、この町に店舗を構えた。わざわざ来てくれるからには、単に駅とSakeBaseを直線移動するのでなく、ゆっくり歩いてこの町を体感してほしい。そんな思いから企画したイベントが、今回のクリスマス先取りの町歩き企画「SakeBaseサンタからの挑戦状」だった。

ボトル
これが企画の元になった栃木県の酒蔵「せんきん」のにごり酒「雪だるま」。愛らしい表情が目を引く。
ケーキ屋の前で並ぶ男性2人
菓子店「リルミルフィー」の前で、店長・岩本拓也さんと宍戸さん。上品なブルーを基調としたお洒落な店だ。

加えて宍戸さんには、店を営む中で「若い世代の人たちには、まだまだ日本酒は飲まれていない」との実感もあった。自分たちの「酒屋」としての入り口以外に、なにか日本酒を飲んでもらうための別の入り口をつくる必要もあるのでは……。そう考える中で、西千葉駅北口で人気のケーキと焼き菓子店「リルミルフィ-」とのコラボを思い立ったのだった。同店ができた昨年5月以来、スイーツ好きの宍戸さんがたびたびシフォンケーキを買いに通っていた店である。
「今年8月に初めて、コラボのお話をさせていただきました。店長の岩本さんには幸いなことに快諾していただき、そこから話し合いや試作を重ねて、やっと形になりました」と宍戸さん。

材料の入ったボウルと泡だて器
せんきん「雪だるま」の酒粕を、フロマージュブラン、クレームドゥーブルと混ぜ合わせるところからケーキづくりはスタート。
トレイに並んだケーキ
ずらり並んだ雪だるまケーキ。10日は20個、11~12日は各40個の限定販売で、1個600円。

イベントの時期としてはクリスマス前を想定し、モチーフには取引のある栃木県の酒蔵「せんきん」の季節商品「雪だるま」をセレクト。毎年11月に発売され、年齢を問わずファンの多い活性にごり酒だ。
「おいしいお酒であることはもちろんですが、ボトルのデザイン性が高く、雪だるまというキャッチーなアイテムであること。そして、生酛、ナチュールなどを得意とするせんきんさんと、素材を吟味し添加物を一切使わないリルミルフィーさんの、ものづくりに対するシンプルでクリアな姿勢がマッチするだろうなと考えたのです」(宍戸さん)。
そして、ラベルに描かれた雪だるまをモチーフにしたケーキの試作が始まった。最初は、二つの雪玉を上下に合わせた形を模索したが、崩れやすく、ケーキの箱に入らない。そこで、雪だるまはホワイトチョコレートの上に描くことにした。ケーキ本体は、酒粕を混ぜたチーズクリームの中にいちごジャムを潜ませ、ぎゅうひで包む形に。店長の岩本さんは「試作は5~6回。結構手がかかるので大変でした」と言いながら、楽しそう。ホワイトチョコの上の雪だるまマークの再現性は、見事の一言だ。

チケット
「リルミルフィー」で雪だるまケーキを買った人には写真のチケットが手渡された。このチケットで、SakeBaseでのコリントゲームに1回挑戦できる。
おちょことギフトボックス
コリントゲームの勝者への商品は、写真の雪だるまお猪口。この日のために特注した。
並んだ酒瓶
イベントの3日間、SakeBaseの角打ちでは、にごり酒たちを提供。左から、「獺祭」純米大吟醸スパークリング、「廣戸川」純米にごり、「天美」純米吟醸にごり酒、「いづみ橋」純米活性にごり酒、「ハナグモリ」のどぶろく2種。
ボウルに入れられた酒瓶
にごり酒たちはカウンター上のボウルで、氷で冷やしながら提供。

「リルミルフィー」で雪だるまケーキを買った人は、SakeBase名物のコリントゲームに参加できるチケットがもらえるため、これまでSakeBaseのことを知らなかった人も続々店を訪ねてくる。反対に、SakeBaseに来たお客さんは「リルミルフィー」の場所を聞いて、線路の反対側までケーキを買いに行く。酒屋と菓子屋、すこし縁が遠そうに思える2つの店に、雪だるまを介しての行き来が生まれていた。
SakeBaseの店内では、18時を過ぎた頃から次々と角打ちを楽しむ人々が。ケーキの箱を手に入店する人も多いが、「ケーキはお土産用」と店では手を付けない人も結構いる。あまりにも可愛らしいビジュアルなので、店で食べず、持ち帰って家族とともに楽しみたい人も多いのだろう。
そんな中、一人の男性がついに、雪だるまケーキと雪だるま酒のマッチングにトライ! 一挙に注目を集める。ケーキ本体はぎゅうひに包まれているため、食べようとするとビヨーンと伸びて、少々難儀している様子。しかし、途中で雪だるまのにごり酒を飲んだら、そのマッチングに満面の笑み。ケーキはフレッシュチーズをふんだんに使っていつつ、甘味を抑えた大人の味わいで、吞んべえのお客さんにも大好評だった。

カウンターで飲む人々
SakeBaseの角打ちは持ち込み自由なので、近所の飲食店で料理をテイクアウトしてくる人や、自作のつまみ弁当を持ち込む人も。
燗酒を注ぐ人
店の前では寒空のもと、サンタに扮した石井叡(あきら)さんが燗酒をつける。
お猪口に入った酒とケーキ
雪だるまをケーキ&酒のペアで楽しむ人がついに登場。一気に店内の注目を集めた。
ケーキを食べる人
「甘味控えめでおいしい。思ったより、酒に合いますね」。

SakeBase開店当時から名物として置いてあるコリントゲームは、かなり難易度が高い。常連さんたちはレバーを引く長さや力加減に一家言ある人も多いが、それでも、見ているとなかなか当たらない。勝者の証であるオリジナルお猪口は、この3日間のために新調した「雪だるまお猪口」だ。
18時過ぎ、ようやく勝者が! うやうやしく賞品を受け取る。そしてその1時間後に2人目の勝者が誕生した。誰かがコリントゲームに向かうと、店全体が応援する雰囲気に。そして当たりが出ると万来の拍手。お客さん同士の距離が自然と近くなるSakeBaseマジックだ。

そうして3日間で11人の「雪だるまお猪口ホルダー」が生まれた。お客さんからは「楽しいイベントだった。来年も必ずやってほしい」との声が多数。西千葉の町おこしにも一役買ったこの新規イベントは、一足早いクリスマスを運んでくれたようだ。

ギフトボックスを渡す人、受け取る人
雪だるまお猪口ゲット第1号のお客さん。お猪口は紺色のきれいな箱に収められている。このときはまだ店内に人はまばら。
ガッツポーズをする人
第2号の勝者が表れると、店中が祝福ムード。カウンター内のサンタ帽は、スタッフの土屋杏平さん。

店舗情報店舗情報

SakeBase
  • 【住所】千葉県千葉市稲毛区緑町1-22-10
  • 【電話番号】04-3356-5217
  • 【営業時間】12:00~21:00(角打ちは17:00~)
  • 【定休日】月曜
  • 【アクセス】JR総武線「西千葉駅」南口より6分

写真:山本尚明 文:里見美香(dancyu編集部)