dancyu12月号「おいしい取り寄せ」絶賛発売中！

2021.11.06
- 連載 : dancyu本誌から

取り寄せは「知る」ことで、もっとおいしくなります。生産者やシェフは一体どんな人？どんな場所でつくられているの？どれくらいの手間をかけてつくっている？どうしてこんなにおいしいの？どんなふうに魅力的なの？一番おいしく食べる方法は？そんな“取り寄せの前後”を知ることで、あなたの明日からの取り寄せがもっと楽しく、もっとワクワクしますよ！

教えたくなる味

dancyu2021年12月号: 美味しさを表す言葉はいろいろありますが、「人に教えたくなる味」が最上級なのでは、と思っています。「人に教えたくない味」という褒め言葉（？）もありますが、想像を超える美味しさ、涙が出そうになるくらい感動する味わいに出会った場合、「他の人に知られたくないから内緒にしておこう」という小さな考えを超越して、「ああ、この美味しさを誰かに言いたい！」となりませんか？　伝えた相手がそれを体験して感動を共有してくれれば、美味しさがさらに増幅されるような気もします。
僕も、「これは誰かに伝えたい！」と思う味にいろいろ出会ってきました。北海道の漁港のお母さんが握ってくれたウニのおにぎり、明石の小さな店でどーんと出てきた魚介たっぷりの焼きうどん、四万十川の漁師さんが庭先で豪快に焼いてくれた鰻……思い返してみると、東京以外の、非日常の味が多いですね。産地ならではの環境あっての感動なのかもしれません。
逆に、行ったことがない場所のものを取り寄せて食べて、その美味しさに驚くこともあります。知らない土地だからこその妄想も加わり、美味しさのイメージがどんどん膨らみます。これも人に教えたくなります。そして、いつかそこに行って、“答え合わせ”をしてみたい、そんな楽しみも取り寄せにはありますよね。

dancyu編集長植野広生