たまご料理体験記
主婦歴29年のライターが感動した、たまご料理レシピ3皿

主婦歴29年のライターが感動した、たまご料理レシピ3皿

絶賛発売中のdancyuムック「dancyu定番シリーズたまご料理57皿」では、バリエーションに富んだたまご料理をご紹介しています。その中から食を専門とするライターが、気になるレシピを試作してレポート。3人目は、主婦歴29年のベテラン母さんです。

29年目にして、レパートリーのマンネリ化に気づいた

1年365日、くる日もくる日も卵を割っているのに、まったく増えないのがたまご料理のレパートリー。目玉焼き、オムライス、茶碗蒸し、カルボナーラなど、ド定番を繰り返しつくるばかり。これでいいのか?!主婦歴29年の自分!とハッパをかけ、『dancyu定番シリーズ たまご料理57皿』のレシピを見て、今までにつくったことのない3品にチャレンジしてみました。甘辛味好きの夫が喜びそうと選んだのが「卵のテリ焼き」(簡単そうだし)。もう一品は、前々からつくってみたいと思っていた「ケランチム」。あのふわふわ、憧れる~。3品目はちょっと気合がいりそうな半熟卵の「スコッチエッグ」。固ゆで卵のスコッチエッグはつくったことがあるけれど、半熟とろ~りって……(よだれ)。不器用だけれど、ズボラだけれど、腕が鳴ります!

ご飯が進みすぎる「卵のテリ焼き」

極度の面倒くさがりなので、朝食は目玉焼きが精一杯。その途中でパタンと2つ折りにして調味料を入れただけなのにちゃんと料理しました感が。たたむ時に黄身が少し流れてしまったけれど、気にしない気にしない。たれの甘辛加減が絶妙で、卵の焦げ目の香ばしさとなんとまぁ、よく合うことか。夫は卵1個分でご飯1杯食べて、2個めでお代わり。たれだけでもう1杯イケると(食べ過ぎ!)。普段、白米を食べない息子が、お茶碗を手にご飯をかき込んでいたのにもびっくり。

卵のテリ焼き

憧れの「ケランチム」。アミの塩辛さえあれば楽勝!

アミの塩辛をネットで取り寄せ、憧れの一品にいざ挑戦!膨らみますようにと念じながら、卵をよーく攪拌。昆布だしに流し入れたら、仕上がりまでものの5分ほどとスピード勝負だ。途中で仕事の電話がかかってきたけれど、スルーしました(すみません)。一回り大きいトゥッペギだったので、お手本の写真のように縁いっぱいにはならず。それでも卵とだしでふわふわ~しゅわわ~。塩気はアミの塩辛だけなので、味わいは繊細。その分、卵のやさしい甘味が楽しめます。ご飯にかけ、胡麻油を少し垂らしてもバッチグー。茶碗蒸しより手軽につくれるから、これから度々お世話になります。

ケランチム

黄身のとろ~りも大成功の「スコッチエッグ」

私が最も苦手とするのは半熟卵。加熱が足りなかったり、火が入りすぎたり、殻がうまくむけなかったりと失敗は数知れず。でも、レシピ通りにゆでたら、殻もきれいにむけました。揚げるときは緊張したけれど、なんとかクリア。包丁を入れてみると、黄身がとろ~り流れてとろとろ感は想像以上。まな板に流れ出た黄身は、もったいないからすくって戻し……。「肉種のジューシーさとスパイスの甘い香りもいい!」と息子に言ってもらえてご満悦。

スコッチエッグ

新しいたまご料理に挑戦した感想は?

しっかり黄身に火を入れる「卵のテリ焼き」、ふっくらふわふわの「ケランチム」そして、とろとろの半熟がおいしい「スコッチエッグ」と、試した3品はまさに卵七変化。調理の仕方でいろいろな食感と味わいが楽しめるのが、たまご料理の面白さだなぁと改めて実感できました。実をいうと、かき混ぜ方や火の入れ方一つで、出来映えがまるで違ってしまうたまご料理には少し苦手意識があったのですが、ちゃんとプロのレシピを見てつくれば失敗はなし。そのことにも改めて気づきました。オムライスやカルボナーラもレシピに沿ってつくれば、ワンランク上のおいしさが楽しめるはず。もちろん、つくったことのないたまご料理はまだまだたくさんあるので、次はどれをつくろうかと、ページをめくりながら腕まくりしています。

各たまご料理の詳しいレシピは、『dancyu定番シリーズ たまご料理57皿』に掲載されています。

文・写真:上島寿子

dancyu定番シリーズ「たまご料理57皿」
dancyu定番シリーズ「たまご料理57皿」
A4変型判(112頁)
2021年5月31日発売/880円(税込)
上島 寿子

上島 寿子 (文筆家)

東京生まれで、銀座の泰明小学校出身。実家がビフテキ屋だったため、幼少期から食い意地は人一倍。洋酒メーカー、週刊誌の記者を経て、フリーに。dancyuをはじめ雑誌を中心に執筆しています。