カムチャッカ半島南端域に流れるオゼルナヤ川に遡上する最高品質の紅鮭を日本の職人が手でさばき、塩と砂糖で水分を抜き、雑味を除き、うま味を凝縮。8℃以下のスモークルームの中で35分間、国産の桜チップの煙で冷燻後、一晩寝かすだけの逸品。アミノ酸・保存料不使用!
紅鮭はサケの仲間としては最も冷たい3〜13度が生育適水温。冷たい海のオキアミなどのプランクトン性の甲殻類を漉し取る鰓耙(さいは)が、サケ属中で最も多い。大量に食すオキアミなどに含まれるアスタキサンチンが紅鮭の紅色の由来。
身100gあたりに含まれるアスタキサンチンは、白鮭が0.5〜0.8mgに対して、紅鮭は2.5〜3.5mgと圧倒的だ。サケ属は白身魚だが、真紅になるほどの紅鮭のアスタキサンチンの機能性は非常に魅力的。また、餌の甲殻類が紅鮭の身体を作るから、うまいのは当然だ。
紅鮭は養殖放流の事業化が難しく、自然に任せるしかない。孵化した年には降海せず、途中の湖などで1年から数年過ごし、成長してから海に降りる。その為、生育に適した河川流域でしか、持続的な種の保存ができない魚で資源量も限られる。紅鮭が非常に美味な魚でも、養殖ものがないのは、技術的に難しいからだ。
南カムチャッカ自然保護区にあるクリル湖とオゼルナヤ川は、太平洋のサケ7種が生息する天然サケの宝庫。そこで水揚げされる紅鮭は加工施設が近く、最高レベルの品質を誇る。
密漁の取り締まりも厳しく、資源量の管理が徹底しており、持続可能な紅鮭漁として、世界的にも知られている。
ロシアから輸入された原魚は、職人が一本一本包丁でさばく。塩と砂糖で余分な水分と雑味を抜き、うま味を凝縮させ、8℃以下に保たれたスモークルームの中で、国産桜チップの煙で冷燻され、一晩寝かして完成する。
アミノ酸も合成保存料も使わない極上スモークサーモンは、急速冷凍され、解凍しなければ半年の賞味期限がある。片身のフィレを自身で豪快に切るのであれば、切れる包丁は必需品。
クリスマスパーティーの華にもなるし、正月のおせちでは準主役クラスの存在感はある。原材料:紅鮭・塩・砂糖!のごまかしが効かない逸品だ。
文:(株)食文化 萩原章史