中目黒の「Steak Dining Vitis」では名店仕込みの炉窯焼きステーキを食べられます。ナイフを入れたときにぷるんとした感触がするほど、みずみずしいステーキを堪能できます。
こんがりときつね色に仕上がった均一の焼き色も美しいステーキ。表面はあくまでもカリッと芳ばしく、それでいて刃を入れた瞬間、手に伝わるぷるぷると震えるような肉の感触が、肉汁の豊富さを物語る――。そんな銀座の一流店にも引けを取らぬ上質のステーキで注目の「ステーキダイニング ヴィティス」。
オーナーシェフの結城壮平さんは、あの名店「麤皮(あらがわ)」で7年半、肉焼きの研鑽を積んだ実力の持ち主だ。「麤皮」同様特注の炉窯で焼くステーキは、月齢30ヶ月以上の処女牛のみ。常時数種類を用意した中から、部位や産地の異なる牛肉を食べ比べられるコースも魅力の一つだろう。
「今日は、鹿児島ののざき牛。個人名がついているブランド牛です。肉の旨味が濃いんです」と結城シェフが差し出した皿には、フィレとサーロインが一塊ずつ。フィレ肉を口にすれば、舌ざわりはあくまでもしっとりして、肉質は限りなく繊細だ。噛みしめるほどにピュアな肉の旨味がじわじわじわと味蕾に浸透していく。一方、サーロインは、サシが多い分、風味が華やか。とはいえ、炉窯焼きならではの燻香のせいか、くどさは皆無だ。このクオリティーで銀座価格のおよそ半額。ちょっと見逃せない一軒では?
文:森脇 慶子 写真:海老原 俊之
※この記事の内容はdancyu2018年10月号に掲載したものです。