東京・中板橋にある「欧風菓子 白鳥」には、店名にぴったりのシュークリームがあります。姿も個性的で、クリームのとろける味わいも唯一無二。お土産にも喜ばれる、素敵なシュークリームです!
優雅なのは、白鳥を模した見た目だけではない。ホワイトキュラソーで香りづけした生クリームと、バニラビーンズをたっぷり使ったカスタードクリームが、まるでシルクのように口の中ですーっと溶けてゆく。気高いようで、上品さと素朴さが絶妙にからまり合って、不思議と親しみやすい。「羽でクリームをすくって食べてもおいしいですよ」と、二代目の白鳥忠光さんは話す。
「銀座凮月堂」に長く勤めた先代が、当時まだ珍しかったヨーロッパの菓子を広めるために開店した。高価でなくていいから良質な材料を選び、絶対に手を抜かないで丁寧に作業すること。それさえ守れば技術は高くなくてもおいしくなる。
スワンが凛として美しく見えるのは、そんな実直な教えが受け継がれているからなのだろう。
文:吉田彩乃 写真:竹之内祐幸
※この記事の内容はdancyu2019年4月号に掲載したものです。