東京・祐天寺にある「三宿トラジ」は、ハラミブームの火付け役。毎日仕入れている新鮮な生のハラミとサガリを楽しめます。
ワインレッドのような深い赤みを帯びた肉は、しっとりとして渋い光沢を放ち、その肉々しい様相が食欲に火をつける。これが「三宿トラジ」の“塩サガリ”。ハラミブームの火付け役でもある同店の、年来変わらぬベストセラーメニューだ。
実家の焼肉屋で小学生の頃からハラミの目利きを任されていたという主人の蒋誠一さんは語る。「サガリとハラミは、同じ横隔膜だけど、部位がちょっと違うんですよ。程よく霜降りのハラミに対し、サガリは赤身が強い。ジューシーで赤身肉の美味しさが凝縮している感じですね」。
思い入れが強い部位でもあるので、生の和牛のハラミとサガリは、ストックせずに毎日仕入れてその日に売り切るのがモットーだ。焼き上がりも芳ばしい肉にかぶりつけば、ほぐれるような繊維の間から肉汁があふれ出る。口中に充満する赤身ならではの濃い旨味。これこそがサガリの醍醐味だろう。
文:森脇慶子 写真:本野克佳
※この記事の内容はdancyu2017年10月号に掲載したものです。