カメラマンが、いつかまた食べたい料理
牡蠣、バラチラシ、ブルンジ|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

牡蠣、バラチラシ、ブルンジ|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンの沼田学さん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

沼田学さんが食べに行きたいのは――。

それまで気軽に行けた場所に簡単に行けなくなってしまい、近所がパスポートが必要な外国のような感覚になってしまった。
当たり前だったことの尊さを感じる日々です。

ひょんなことから毎日のように築地市場を撮影することになり、そこで知り合った人たち、魅せられた人たちのお店に引き続き顔を出すことが日常でした。全くいけなくなってしまった……悲しいことです。

ということでこの騒動が終わったら家族と訪れたり、偶然居合わせた友人たちとわいわい無駄話をしながら食べたり飲んだりしたいお店を選びました。

東京・松陰神社「アリク」の牡蠣三種盛り

東京・松陰神社「アリク」の牡蠣三種盛り
東京・松陰神社「アリク」の牡蠣三種盛り
築地の牡蠣の仲卸で働いていた店主に、半ば強引に築地に連れていかれたのが築地との付き合いはじめ。「牡蠣はシーズンもの」という常識がまかり通っているけれど、「とれる地域ごとに旬は絶対違う!」という全国の牡蠣の生産者事情に異常に詳しい店主・ヨッシーの選んだ牡蠣を食べ比べできます。北から南まで津々浦々の海をかんじられます。コの字カウンターで旅行気分!仕事が終わると心身を整えるためいつも寄ってしまう、自分にとってはサウナとか銭湯みたいなお店です。

東京・銀座「Fishtail Kitchen」のバラチラシ

東京・銀座「Fishtail Kitchen」のバラチラシ
東京・銀座「Fishtail Kitchen」のバラチラシ
店主の永田明さんは長年築地の大卸や仲卸で働いてきた人で、うまい魚がどこにあるのかを知り尽くした料理人。その時一番うまい魚を食べさせてくれるお店です。ランチメニューのバラチラシがいつ食べても本当に最高。毎日でも食べたい!夜は予約したときにこんなの食べたいと伝えるとその日に仕入れてくれます。ここで食べたのどぐろの煮つけは生涯ベストの煮つけでした。

東京・築地「YAZAWA COFFEE ROASTERS」のブルンジ

東京・築地「YAZAWA COFFEE ROASTERS」のブルンジ
築地場外市場に矢沢精肉店というお肉屋さんがあるのですが、そのバックヤード側の通路にあるスタンドコーヒー屋さんです。店主のヒロさんも市場で大卸の仕事をしていた人で、なぜか今コーヒースタンド。朝6時から11時までしか営業していないのですが、仕事前による人や市場内で働く人など、お得意さんたちでいつも賑わっています。常連に同業のコーヒー屋さんや焙煎屋さんが多いのも特徴の知る人ぞ知るお店です。ここで朝、自家焙煎の旨い浅煎りのブルンジをキメて友人とおしゃべりし、仕事に行くのがルーティーンです。

写真・文:沼田学