カメラマンが、いつかまた食べたい料理
ウマヅラハギとフェンネルの煮込み、魚のクスクス、水レモンのローストとハマセンダンで燻製にしたハム|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

ウマヅラハギとフェンネルの煮込み、魚のクスクス、水レモンのローストとハマセンダンで燻製にしたハム|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンの在本彌生さん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

在本彌生さんが食べに行きたいのは――。

兵庫・淡路島「南海荘」のウマヅラハギとフェンネルの煮込み

兵庫・淡路島「南海荘」のウマヅラハギとフェンネルの煮込み
好物のウマヅラハギ、ソテーした魚を魚の出汁と煮込んだだけ、と宿の3代目で料理人でもある竹中淳二さんはいいますが、こんな旨味の引き出し方があるのかと、一口目から唸りました。身は程よく締まり、肝は軽やかなムースのようで、地魚の実力と地元で育った野菜の野性味も相待ってこれは絶品。何料理でもない、地料理とでも言いましょうか。こちらのお宿は季節ごとに魚も野菜も変わり、行くたびに違う美味しさに出会えるのが素敵。

イタリア・シチリア島トラパニ「Cantina Siciliana」の魚のクスクス

イタリア・シチリア島トラパニ「Cantina Siciliana」の魚のクスクス
トラパニはすぐそこにアフリカ大陸を望む立地、Pino Maggiore氏の作る魚のクスクスが最高に美味しいのです。古典的な方法で作ろうとすると非常に手間のかかる料理、その割に見た目が極地味なのです。ダイナミックな料理の過程の写真をこちらではご覧ください。大きな鉢の中でセモリナの大粒のクスクスを擦り付けるように揉み、少しずつ水分を加え、 スープでゆっくり炊きあげ、食する時は別のボールで供される魚のスープをかけながら頂きます。セモリナのダイレクトな美味しさと極上の魚出汁、食感がしっかり残るツブツブを口内で楽しむ幸せ。白ワインもすすみます。

沖縄・南城市「胃袋」の水レモンのローストとハマセンダンで燻製にしたハム アフリカンバジル添え

沖縄・南城市「胃袋」の水レモンのローストとハマセンダンで燻製にしたハム アフリカンバジル添え
「胃袋」の関根麻子さんの作り出す料理は、新しい沖縄の味も言えるでしょう。食材のみならず、仕込みや隠し味に使うものも島のあちこちから集められます。食べた先から己のエネルギーに還元されていくのを感じられるような料理を作る人。姿は大胆ながら繊細な味のバランス、果物と肉の組み合わせの傑作です。この水レモンのローストは食してから何日もの間その印象が消え去ることはありませんでした。この一皿の中で、香り、食感、後味、その余韻に浸れます。グラマラスな一品。

写真・文:在本彌生