カメラマンが、いつかまた食べたい料理
白菜チヂミ、タジン、進化し続けるカレー|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

白菜チヂミ、タジン、進化し続けるカレー|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンの熊谷直子さん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

熊谷直子さんが食べに行きたいのは――。

韓国・ソウル 京東市場「安東チッ」の白菜チヂミ

韓国・ソウル 京東市場「安東チッ」の白菜チヂミ
ここ数年、韓国の友人が出来たことが切っ掛けにソウルへ度々通っているのだけど、何度行っても市場や屋台の熱気に圧倒される。生きるパワーを全身に浴びるようなその空間。それもソウルへ行きたくなる理由の一つなのだろう。ドラム缶で焼くサムギョプサル、グツグツ煮えたぎったコムタンスープ、燃えるように真っ赤な唐辛子たっぷりのタットリタン……。屋台や市場では所狭しと並ぶテーブルに友人と肩寄せ合って食べたのも幸せな記憶につながるのだろう。ソウルでは食べたい料理がありすぎてひとつと言われると本当に困るのだけど、今日の今の食べたいものは京東市場、地下にある「安東チッ」の白菜チヂミ。シンプルながらにも決して真似出来ない熟練の技で焼かれたこの一品には、マッコリを合わせて食い倒れツアーのスタートを今直ぐにでも切りたい。

東京・東北沢「エンリケマルエコス」のタジン

東京・東北沢「エンリケマルエコス」のタジン
「エンリケマルエコス」へ通うようになってもう何年経つのだろうか?先日10周年を迎えたので、同じくらい経っているのだろう。店主の小川歩美さんの作る料理はとてもシンプルなんだけど、丁寧な味がしていつも感動する。食材に真摯に向き合ったフレッシュな味というのだろうか?季節のメニューがあったりと少しづつ変化し続けていて、どれも驚くほど美味しい。そして私はいつも決まって「ケフタタジン」を頼む。締めの一皿というポジションなのかも知れないな……。なんて思い出したら口の中に味が蘇ってきた。歩美さんの料理は、見た目の美しさにも心打たれ皆思わず写真を撮り出すのだけど、それよりも食欲が勝ってしまう私はほとんど写真を撮っていないようで、いくら探してもケフタタジンの写真が見付からず……。こちらは野菜のタジン(要予約)。野菜タジンとケフタタジンを食べられる日がとてもとても待ち遠しい。

大分・別府「BASARA HOUSE」の進化し続けるカレー

大分・別府「BASARA HOUSE」のタイル
大分・別府「BASARA HOUSE」のスタッフ
大分・別府「BASARA HOUSE」の進化し続けるカレー
別府に移住した宮川園ちゃんを、webマガジン雛形の取材で訪れたのは5年前。その頃、自らを食べ物建築家と呼びイベントなどで料理を提供していた。目にも美しく芸術作品のような園ちゃんの料理は、食べると身体が喜ぶのがわかり、料理にも園ちゃんにも一瞬にして虜になった。その後2018年にカフェ「BASARA HOUSE」をオープンしたと聞き、別府の地を再訪してその時はカレーを頂いた。一つのお皿に色んな味が盛られているのに、そのカレーは不思議と調和していて、スパイスが一つ一つ際立っている。一皿に宇宙を感じるって正にコレだなぁと、また打ちのめされた。食べる度に進化を感じる料理はまさに園ちゃんそのものなんだと思う。この大きな出来事が世界中で落ち着いたら、きっとまた園ちゃんの作る料理も進化しているのだろう。園ちゃんにも彼女の料理にも早く会いに行きたい。

写真・文:熊谷直子