カメラマンが、いつかまた食べたい料理
おでん、おでん、おでん|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

おでん、おでん、おでん|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンのキッチンミノルさん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

キッチンミノルさんが食べに行きたいのは――。

旅先で何を食べようか。迷った時にはおでん屋を探すことにしています。私たちは普段「おでん」と一括りにしていますが、地方によって、また店によって、これだけ味や食材が違う料理も珍しいのではないでしょうか。

お店に入ると、おでん鍋はだいたい客席とお店側との間のよく見えるとこにドーンと構えているもんですから、目を奪われずにはいられません。わたしはおでん鍋の中を一通り眺めてから、テンションの高鳴りをぐっと堪えて着席します。

「とりあえずビール」を注文し、壁にかかるお品書きを眺めたり、お店の人の働きぶりを眺めたりしていますとすぐに冷えたビールが目の前に置かれます。一日中歩き続けた己の体にビールを流し込むと、ゆっくりと足の先まで弛緩していくのがわかます。ふ~。気分が少し落ち着いたところで、やおら立ち上がりて、おでん鍋の前にわたくしは向かうのです。

お店の方と二言三言言葉を交しながら、会話の中に交じる心地よい方言に旅情を感じずにはおれません。地元のものを中心に注文し、できれば出汁は少し多めに入れてほしいとお願いいたします。行儀が悪いのは承知していますが、最後に具の端くれが混ざった出汁を、少し酒を飲みすぎたかなと思う頃合いに飲み干すのがたまらなく好きなのです。

おでんと酒を交互に口に運びながら、わたしは常連客とお店の人が楽しそうに話している声を聞くともなく聞くのが大好きで、ここの「日常」にちょっと交ぜてもらったような、何とも言えない旅の時間を過ごすことができるのです。

いまは新型コロナの影響で旅はもちろん、気軽にお店にも行けない日々が続いています。「日常」こそ最高の贅沢であったとあらためて感じる毎日です。1日も早く、新型コロナの薬が開発され我々のもとに各々の「日常」が戻ってくることを願わずにはいられません。
新型コロナが落ち着いて旅行に行けるようになったらまた行ってみたい、贅沢な時間を感じることのできるお店を3店ご紹介します。

富山・富山「親爺」のおでん

富山・富士「親父」のおでん
カニの甲羅にたっぷり詰まったカニ身と昆布ベースの澄んだ出汁がたまらんです。最後、具の上にのっけてくれるとろろ昆布。さすが昆布消費量日本一!

沖縄・那覇「おでん東大」のおでん

沖縄・那覇「おでん東大」のおでん
沖縄のおでんの特徴はど~んと入っているテビチ。この写真を見ていると今すぐにも食べに行きたくなってしまいます。開店は21時30分からと遅いのですが、沖縄の夜は長いので問題ありません。せっかく「おでん東大」に行ったのならぜひ「焼きテビチ」も注文して欲しいです。出てくるまで1時間かかるからすぐに注文してくださいね。

島根・松江「おでん 庄助」のおでん

島根・松江「おでん 庄助」のおでん
店内にあるコの字カウンターの先端にドンの構えるおでん鍋。ここのお出汁はアゴ出汁に鳥の皮から出る旨味が効いていてほのかに甘くトロッとしています。お店は穴道湖に面して、絶景。早めに入店し夕日を見ながらゆっくり過ごしたいものです。

写真・文:キッチンミノル