千葉の農家や漁師などは昨年、二つの台風で大きな被害を受け、いまだ影響が残っている場所もあります。野菜、果物、魚介、肉など、四季折々の多彩な食材に恵まれた千葉を、そして美味しい食を支えている生産者を、dancyuは応援します。その応援プロジェクトである「千葉応援クラウドファンディング」に参加していただいている生産者をご紹介します。支援の返礼品として、“房州びわ”を提供するほづみ・びわランドは、千葉のびわ農家の中でいち早くハウス栽培を始めた生産者です。果汁がほとばしる甘味が強いびわを育てています。
千葉県南房総市富浦町は、房州びわの生産地として有名だ。車で走れば家と家の間を埋めるようにしてびわを栽培するハウスが並び、山にも無数のびわの木が生えている。しかも、東京からこの地域へ車で向かう際には、「枇杷(びわ)山トンネル」という名のトンネルを抜けていくほど、この地域には昔からびわ栽培が盛んだった。
富浦町がびわ栽培に適している理由は、温暖な気候。多くの果物は春に花を咲かせて実をつけるが、びわは冬には花から実へと成長し、5月頃に旬を迎える。そのため、気温が低くなりすぎる地域では、実が成長できないのだ。そのため、日本で最もびわが収穫されるのは年間を通して気候の穏やかな長崎県。その次に、千葉県が続く。特に富浦町は地理的に朝と晩の寒暖差が低いので、甘くてジューシーなびわが育つ。
今でこそ富浦町にはハウス栽培が定着しているが、もともとこの地域でいち早くハウスに着手したのが、ほづみ・びわランドだった。穂積家では代々びわの露地栽培を行っていたが、先代が長崎に視察に行きハウス栽培というものを知る。そして、1984年から、ほづみ・びわランドでも開始したのである。
現在、ほづみ・びわランドを営んでいるのは穂積昭治さん、優子さん親子。優子さんの誇りは、富浦町のびわが、全国の人々のびわの概念を覆すほど美味しいことだ。「果肉が厚くて、実が豊か。手で皮を剥いてかじると、手に果汁が滴り落ちるほどジューシーです。とっても甘くて、びわもぎに来てくださった方の多くが『びわってこんなに美味しかったんだね!』と驚いています」(優子さん)。
文:吉田彩乃 写真:三木匡宏