千葉の農家や漁師などは昨年、二つの台風で大きな被害を受け、いまだ影響が残っている場所もあります。野菜、果物、魚介、肉など、四季折々の多彩な食材に恵まれた千葉を、そして美味しい食を支えている生産者を、dancyuは応援します。
農業、水産業、畜産業いずれも生産量で全国トップクラスを誇る千葉県は、美味しいものの宝庫だ。温暖な気候と三方を海に囲まれた立地が、食の恵みをもたらしているのである。
5月に旬を迎えるのは、そら豆。館山市・安西農園の安西淳さんによると「海に近いこの一帯は砂地で水はけがいいので、野菜に余計な水分が入らず旨味が凝縮する」そう。
千葉県の広大な土地は牛の飼育にも適している。「朝晩の寒暖差が小さいので、牛がストレスを感じにくい」と話すのは、髙梨牧場の髙梨裕市さん。独自の研究を積み重ねた育て方で、口溶けがよく、赤身の旨味や脂質の風味がより引き立つ牛肉を出荷している。
同じく穏やかな気候を生かして栽培されているのが、5月~6月に最盛期となる房州びわだ。甘くて、果肉はたっぷりふくよか。皮をむくと果汁が滴り落ちるほどジューシーなのが特徴。ほづみ・びわランドの穂積優子さんは「この地域にびわ狩りに来た方の多くが『びわってこんなに美味しかったの!』って感動してくださる」と言う。
そして忘れてはならないのが、千葉県をぐるりと囲む海の幸。これからの時季の楽しみは、5月に漁が解禁になるアワビやサザエだ。「口開けの時季の貝類は、身が肉厚で味も濃厚。一年で最もお薦めの時季です」と話すのは「いずみや鮮魚店」の原田洋美さん。
生産者・流通業者が抱く「食材の宝庫・千葉」と呼ばれることへの誇りと努力が、千葉の食を支えている。
文:吉田彩乃 写真:三木匡宏