お店に行って、どの日本酒を頼むか迷ったことはありませんか?種類がありすぎて選べない!そもそも日本酒がわからない!そんなときは、酒を知り尽くした店主に相談してみてはいかがでしょうか?初心者も上級者もきっと楽しめる、東京の7軒をご紹介します。
自称“変わり者”。それが「SAKEstory」の橋野元樹さんである。着物に、赤い足袋+クロックスという姿。狙ってる?と天邪鬼(あまのじゃく)な酒好きは、初めは訝る(いぶかる)。
とまれ、今日の気分に合わせた酒を求めると「被災した蔵元さんなのですが、実は二十歳で利き酒大会で最年少優勝し……」と、つまびらか。しかも立て板に水。浄瑠璃で佳境を迎えた太夫の形相である。
ところが、これが突然止まる。アレが体にしみ込んでいるのだ。アレ?アレですよ。呑んべえの「お話十分です、飲ませて」のタイミング。これが絶妙で、流石!とうなってしまう。
気づけば橋野さん、干物を揚げている。ん?揚げている?どうやら本当に変わり者らしい。といっても偏屈のソレじゃない。過剰なほどの日本酒への愛を、のべつ表現する、愛すべき変わり者である。これは、長い付き合いになりそうだ。
文:加藤ジャンプ 写真:米谷 享
※この記事の内容はdancyu2018年3月号に掲載したものです。