飛んでいきたい、うまい旅
ご当地ラーメンの絶滅危惧種?笠岡ラーメンを初体験!

ご当地ラーメンの絶滅危惧種?笠岡ラーメンを初体験!

さまざまなご当地ラーメンが都市部に出店を果たしたが、やっぱりその味を育んだ土地の空気を感じながら食べたいもの。その期待にドンピシャで応えてくれるラーメンが岡山県にあるという。それが笠岡ラーメンだ。いったいどんなラーメンなのか。マイルを使って行ってみた。

スープもタレもチャーシューも鶏尽くし

“晴れの国”と呼ばれる岡山県は有数の果物産地として知られるが、じつは隠れたラーメン激戦区でもある。
岡山空港から車で約1時間。ラーメンフリークに、「鶏ガラだしのすごいご当地醤油ラーメンがある」と聞いて訪れたのは、瀬戸内海に面した笠岡市だ。
のどかな港町のどこにラーメン店があるのだろうと思いながら歩いていると、「中華そば いではら」と書かれた大きな青い看板に出くわした。誘われるように入ってみると、10席ほどの小ぢんまりとした店内に鶏ガラ系スープのいい匂いが充満していて期待が膨らむ。

笠原ラーメンの具材は、“煮鶏”がメイン。「中華そば」並600円(税込)。

メニューは、“中華そば”のみ。「『笠岡ラーメン』といえば中華そばのことじゃけえ」。厨房の奥から店主の出原秀明さんがそう教えてくれた。その正体は、きらきら光る醤油色のスープに、鶏もも肉を煮た“煮鶏”と呼ばれる鶏チャーシュー、青ねぎとメンマが浮かび、まっすぐな中細麺がたゆたう美しいラーメンだった。

粉の香りがふわりとたつ。のびやかな麺はのど越しも抜群!

その昔、笠岡市界隈は養鶏が盛んで、もうタマゴを産まなくなった親鳥(老鶏)を安く手に入れられる土地柄だった。加えて、笠岡のある備中地方は昔から麺づくりも盛んだったことから、戦前に親鳥を使った鶏ガラスープと煮鶏でつくるラーメンが誕生。以来、町の人々に親しまれてきたのだそう。
「安くておいしいが一番じゃけえ」という出原秀明さんは、王道の笠岡ラーメンを貫く一人。つくり方をたずねてみると、驚くほどにシンプルだった。
スープは、若鳥よりも旨味の濃い親鳥のガラのみでとる。煮鶏は親鳥のもも肉を醤油だけで煮る。煮鶏を仕込んだあとの煮汁を煮つめてラーメンダレにする。それだけだ。
「鶏肉と醤油と水があればできる。あとは僕のハートがあればおいしくなる」
そう言いながら出原さんは笑うが、シンプルなものほど加減が難しいもの。仕上がりの味を左右するタレの煮つめ具合がビシッと決まるまでに10年かかったというから、その奥深さがうかがい知れる。

“煮鶏”は親鳥ならではの噛み応えがあって美味。
煮鶏をつくったあとの煮汁を煮つめたタレが味の決め手。
餃子もなければビールもない!潔いメニュー。
JR笠岡駅から徒歩5分。大きな青い看板が目印だ。

さて、その味は。鶏油の浮いた鶏ガラスープは丸みを帯びつつもキレがあり、醤油が鮮烈に香る!煮鶏は噛むほどに旨味がにじみ出て、小麦の味がわかる麺はしなやかでのびがよく、すすり心地がなんとも気持ちいい。香りが柔らかな県産の桃太郎ねぎもいい仕事をしていて、インパクトはあるけれど後味は予想に反して軽やかだ。

出原さんは元石工職人。笠岡ラーメンに魅せられ、現役最古参の名店「中華そば 坂本」で修業をした「一久」(現在は閉店)に弟子入りをして、2003年に独立を果たした人だ。一見、強面ではあるけれどユーモアにあふれ、つくるラーメンには職人魂が宿っていた。

「中華そば いではら」店主・出原秀明さん
「中華そば いではら」店主・出原秀明さん
出原さん
親鳥のラーメンは笠岡だけの味じゃけえ、旨いよ。

職人気質の店主が挑むのは名店の味の再現

笠岡市の中心部から車で走ること15分。山へ山へと向かう道すがら、民家の敷地に「中華そば」の赤い暖簾がはためく小屋を発見した。

ねぎの緑が映えるクリアなスープに食欲がそそられる。写真は「中華そば」並600円(税込)。

店名は「鶴亀」。縁起のいい名前につられて暖簾をくぐると、「いらっしゃい」と店主の井上重正さんが迎えてくれた。御年70歳。この道ウン十年という風格漂う井上さんだが、聞けば店をオープンしたのは2018年とのこと。若い頃は東京の日本料理店で板前として働き、その後、故郷の笠岡へ戻り大工として腕をならした井上さんが、「残りの人生を好きなラーメンに捧げたい」という想いで始めたのだという。

店主自ら建てた、郷愁を誘う山小屋風の店舗。

「目指しているのは、小さい頃に通い詰めた今はなき『斉藤』の味ですわ。あの味が好きじゃったけえ」
昔を知る人にとって「斉藤」は伝説的な名店だったという。そこで教わることは叶わなかったが、井上さんは若かりし頃に笠岡ラーメンを代表する名店「中華そば 坂本」の先代に手ほどきを受けた。つまり、「斉藤」の味の記憶を頼りに「坂本」仕込みでつくったのが、鶴亀の味ということになる。

メンマ1本の配置にも気を遣い、丁寧に盛りつける。
親鳥の旨味が凝縮したスープは濃厚にしてあっさり。
笠岡ラーメンは、このストレートの中細麺が王道。
カウンター席のほか小上がりもある。女性客も多い。

井上さんがつくるのもまた王道の笠岡ラーメンで、惜しみなく親鳥のガラを使ったスープに、具材は煮鶏にメンマ、九条ねぎをトッピング。
日本料理の技を持ち得ているからだろう。丼の中に絵を描くように丁寧に盛りつける井上さんの姿は印象的で、目の前に出された一杯は見目麗しい。淡い醤油色を帯びたクリアなスープを味わえば、口中が鶏の旨味で満たされる。濃厚だけれど、あっさり。ほどよく上品で、大盛りを頼む地元の女性客が多いというのもうなずける味わいだ。
近所のお客さんから「お父さん」と呼ばれ親しまれている井上さんは、研究熱心な人でもある。「もっともっとおいしいを追及しますわ」とはりきる姿を見て、再訪を胸に誓った。

「中華そば 鶴亀」店主・井上重正さん
「中華そば 鶴亀」店主・井上重正さん
井上さん
職人のプライドがあるけえ、魂込めてつくってます。
最古参の味なら「中華そば 坂本」へ
笠岡ラーメンを出す現役店で一番古くからあるのが、「中華そば 坂本」だ。創業は1958年。もともとは鶏肉専門の精肉店だったが、隣で中華そば店を開いたところ大繁盛。地元民はもとより、やがて遠方からも客がやってくる名店となった。「坂本」で修業をして県内外で店を開いた職人も多く、現代の笠岡ラーメンに強く影響を与えてきた代表的な店である。現在は2代目が暖簾を守り、正統派笠岡ラーメンの味を継承している。はしごしてでも食べたい一軒だ。
「中華そば 坂本」
岡山県笠岡市中央町34‐9 営9:30~14:30頃。売り切れ仕舞い 休 木曜、日曜、祝日
港からフェリーに乗船して瀬戸内海に浮かぶ笠岡諸島巡り。文化財級の寺や遺跡のある島もあり見処満載。
春には菜の花が満開になる笠岡湾干拓地。その敷地内に建つ道の駅「笠岡ベイファーム」で土産物探し。
休憩は町の中心部にある「辻珈琲」で。ローカル線を眺められる店内で自家焙煎のコーヒーを味わえる。

美観地区が有名な倉敷から車でも電車でも30分ほどの場所にある笠岡市。観光地としてはあまりメジャーではないけれど、鶏尽くしのご当地ラーメンはわざわざ食べに行く価値があるおいしさだ。聞くところによると、鶏ガラスープに魚介スープを合わせたダブルスープでつくる店もあるというから、それも気になるところ。
ラーメンのあとは、道の駅での買い物やおしゃれなカフェでひと息つくもよし。笠岡の港から出航するフェリーで瀬戸内海の島々を巡れば、いつもとはひと味違うローカルな旅を楽しめる。

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この記事で紹介したお店

「いではら」
【住所】岡山県笠岡市笠岡2827
【電話番号】0865‐63‐7667
【営業時間】11:30~15:00、17:00~20:00
【定休日】月曜。月曜が祝日の場合は火曜

「中華そば 鶴亀」
【住所】岡山県笠岡市吉田2155‐1
【電話番号】090‐5701‐7259
【営業時間】11:00~20:30(L.O.)
【定休日】木曜

文:安井洋子 写真:森本真哉