ブレンドってどういう意味?どうやってつくっているの?「ブレンドコーヒー」にまつわる疑問を「The Cream of the Crop Coffee 清澄白河ロースター」の焙煎士である板原昌樹さんにぶつけてみました。
いろんな豆を混ぜてつくったコーヒーです。なんだか、文字通りの答えですね(笑)。詳しく説明していきますね。
大前提として、コーヒー豆は農作物ということです。米や野菜と一緒で、天候によって出来不出来がある。だから、いざ焙煎してみると、“あれ?去年とちょっと違うぞ。” そんなこともあります。当然といえば当然ですよね、農作物なんですから。焙煎士としては、それがコーヒー豆の面白いところのひとつだって思っていますね。
もうひとつ言えるのは、質のいいコーヒー豆を手に入れるのが、簡単じゃない時代があったということです。30年ほど前ですかね。コーヒー豆を注文しても、想像した豆とは違うものが届いたりすることがあったと、聞いたことがあります。今みたいに、品質管理がしっかりしている時代じゃないですからね。
ブレンドをする理由は、主にこのふたつだと僕は思います。ブレンドをすることで、コーヒー豆の味を整えるわけですね。毎日、コーヒーを飲むときに、同じ店で、同じ豆を買っているのに、ぽいぽい味が変わったら、あれ?ってなりますよね。ブレンドすることで、いつもの味をつくって、お客さまに、“ああこれこれ”って、飲んでもらうためにも、味がぶれないようにブレンドをするというのもひとつの手段なんです。
ブレンドして、おいしいコーヒーをつくるのは簡単なことではないです。よく言うじゃないですか。ブレンドがおいしいお店にはハズレがないって。何種類ものコーヒー豆を配合して想像通りの味にするには、相当なスキルと経験がないと難しいんです。
コーヒー豆のグレードも関係しますよ。農園によっても味わいは変わってきます。ブラジルひとつとっても、一概には言い表せないと僕は思っています。土壌や精製方法で、別物になったりもしますからね。突き詰めれば、農園に行ってみないと、本来の意味での豆の個性はつかめないのかもしれないですね。とはいえ、豆の個性を知らなければ、ブレンドはできないですから、たいへんな作業だと思います。毎回、農園まで足を運ぶことはとても大変ですから、情報と自分の舌をフルに使うしかないですよね。
もちろん、焙煎もブレンドには関係してきます。深煎りの豆の中に浅煎りの豆をブレンドしたとしても、浅煎りの個性は光りにくい。深煎りのコクや苦味に埋もれてしまいます。そう考えると、焙煎度合いがそろっている豆を使った方がイメージ通りの味になりやすいんですけど、ちょうどいい焼き加減というのは、豆によってもぜんぜん違うので、単純じゃないんです。ブレンドのことを考えると、いっぱいいっぱいになります(笑)。
だからこそ面白いんですよね。ああでもない、こうでもないと。豆の組み合わせによって味は無限に広がっていくので、もしかしたらいつの日か、とてつもなくおいしいブレンドができるかもしれないですね。
実際に、コーヒー関係の仕事が多い書き手と撮り手の4人に「The Cream of the Crop Coffee 清澄白河ロースター」に集まってもらって、板原さんがいつもブレンドで使用している4つの豆(エチオピア、グアテマラ、コロンビア、ブラジル)の配合の割合を少しずつ変えながら、これだっ!と思えるブレンドの味を探ってもらいました。果たして、自分好みの味にたどり着けるのか。
次回、ブレンド体験レポートをお届けします!実際にブレンドが体験できる「ブレンド大実験&大試飲会」も開催予定。
文:河野大治朗 写真:萬田康文