濃くて深いブレンドコーヒーの話。
ブレンドコーヒー、できました!

ブレンドコーヒー、できました!

2018年12月8日に開催した『世界にひとつだけのオリジナルブレンドをつくる「大試飲会&ブレンド大実験」』。

数々のオリジナルブレンドと笑顔が生まれた『世界にひとつだけのオリジナルブレンドをつくる「大試飲会&ブレンド大実験」』。大いに活気を呈したイベントをレポートします!

飲んでは混ぜて、また飲んで。焙煎所で行われたブレンド体験。

コーヒー豆の香りが漂う会場で、いよいよブレンドづくりが始まります。
コーヒー豆の香りが漂う会場で、いよいよブレンドづくりが始まります。

2018年12月8日。快晴の冬空から暖かな日差しが降り注ぐ中、『世界にひとつだけのオリジナルブレンドをつくる「大試飲会&ブレンド大実験」』会場の「The Cream of the Crop Coffee 清澄白河ロースター」にはコーヒー好きが集い、焙煎士の板原昌司さんの挨拶でイベントは幕を開けました。

違った特徴を持つ4種類のコーヒー。果たして、自分好みの味に出会えるかな?
違った特徴を持つ4種類のコーヒー。果たして、自分好みの味に出会えるかな?

ブレンドづくりは豆を知ることからスタート。
エチオピア、グアテマラ、ブラジル、コロンビアのシングルオリジンが参加者に配られ、ブラインドで試飲します。
香りを確かめて、舌で転がして、豆の特徴を捉えようと大いに気を吐きます。
あーでもない。こーでもない。4人1組のテーブル内で議論を交わす中、板原さんから正解が発表されるたび、会場からは、落胆と納得の中間のような反応が返ってきます。中には正解をスバリ言い当て、賞賛を受けている方もいます。

会場は和気藹々とした雰囲気。コーヒー好き同士、話が弾みます。
会場は和気藹々とした雰囲気。コーヒー好き同士、話が弾みます。

板原さんが「頭の中で分析しながらコーヒーを味わうと、予想外の味を見つけたりして新鮮ですよね」と問いかけます。
みなさん、頷いています。なめらかな口当たりが好印象だったり、舌に残る渋味が気になったり、ブラインド試飲会で、自分の好みが浮き彫りになったようです。

額を集めてのブレンド会議。同じコーヒーでも、人によって印象が違うから面白い!
額を集めてのブレンド会議。同じコーヒーでも、人によって印象が違うから面白い!

4種類の豆を味わい、味覚が研ぎ澄まされてきた参加者の前に登場したのは、深町泰司さん、小坂章子さん、萬田康文さんと大沼ショージさん。4人には1ヶ月前の宿題、自分好みのブレンドを発表してもらいました。

深町さんは、元喫茶店主。飲み飽きないよう、クセのない味わいにしながらも、好みの味で個性を織り交ぜています。

目指したのは、何の変哲もないようでじんわりおいしいブレンドです。突出した味が出ないように、豆の比率は等配合に近づけました。ブラジルとコロンビアの量を増やしたことで、僕の好きな酸がアクセントになっていると思います。

コーヒーに関する著作も多い小坂さんは、華やかな印象のブレンドです。

私は、細胞1個1個に元気がいきわたる1杯をイメージしてつくりました。エチオピアのスパイシーな甘味と、ブラジルの優しい酸味を軸にしたブレンドです。ピチピチした果実味が際立つブレンドに仕上がりました。

萬田さんと大沼さんの写真家チームは、奥行きのある渋めな大人ブレンドをつくったようです。

僕たちの配合はグアテマラとブラジルを増やすことでコクにポイントを置いています。後味の余韻はシナモンの香りがして、程よく残りますよ。冷めることで酸味が落ち着いて、味わいも深くなるブレンドです。

世界にひとつだけのブレンドを目指して、自分好みの味を追求します。
世界にひとつだけのブレンドを目指して、自分好みの味を追求します。

まさに三者三様。参加者には再びブラインドで深町さん、小坂さん、萬田さん&大沼さんの3つのブレンドコーヒーを試飲してもらい、どの味が好みかを決めてもらいます。好きなブレンドごとにチームに分かれて、3人の配合を元にしたチームブレンドをつくるのです。

1杯目が好きという方は、2人。深町さんブレンドです。
2杯目は、1人!萬田さんと大沼さんブレンド。
3杯目はなんと、13人。小坂さんのブレンドが好みという人が大多数という結果に。

3チームに分かれてのブレンドづくり。その成果はというと……。

深町チーム、両手に華!
深町チーム、両手に華!
萬田&大沼チームには板原さんも加わり、鬼に金棒!
萬田&大沼チームには板原さんも加わり、鬼に金棒!
リーダーを含めて総勢15名の小坂チーム。
リーダーを含めて総勢15名の小坂チーム。

深町チームの弁。

コーヒーの酸味が得意ではなかったんです。でも、深町さんがつくったブレンドを飲んだとき、酸味が苦手じゃないかもって思えました。深町さんの配合から、キュッっと締まるような酸を際立たせるブレンドにアレンジしました。

萬田&大沼チームの考え方。

シングルで飲んだときに、エチオピアの酸が苦手だなと思ったんです。思い切って3種類の豆だけで配合してみることにしました。しっとりした口当たりが印象的だったコロンビアをベースにグアテマラとブラジルを添えました。

大所帯の小坂さんチームが目指した味は意外でした。

小坂さんのブレンドは、エチオピアの香りが特徴的でした。華やかな印象は残しつつ、コクもさらに深めようということでチームブレンドの方向性が決まりました。ベースだったブラジルとグアテマラの割合をひっくり返した配合です。

イベントの合間にはスマートロースターを使って、コーヒー豆35kgの焙煎見学。
イベントの合間にはスマートロースターを使って、コーヒー豆35kgの焙煎見学。

3種類のチームブレンドが抽出されました。参加者はイメージ通りになっていることを願って、ゆっくりと口にします。ブレンドづくりをする上で、一番緊張する瞬間。
反応は十人十色。パッと笑顔が咲いた人がいるかと思えば、うーんと頭を抱える人もいるようです。当たり前だけれど、ブレンドづくりは一朝一夕では難しい。

そしていよいよ、これまでの試飲と実験の記憶を辿って、自分好みのブレンド配合を考えます。世界にひとつだけのオリジナルブレンドです。悩んだ末に、4種の豆の配合を決めて、提出。仕上がりへの期待と一緒にコーヒー豆を持ち帰って、家でのお楽しみです。

最後はペーパードリップ講座。みなさん真剣な面持ちでケトルを手にします。
最後はペーパードリップ講座。みなさん真剣な面持ちでケトルを手にします。

ブレンドコーヒーの濃くて深い体験が詰まった、あっという間の3時間。
みなさん、本当にありがとうございました。

写真:大沼ショージ