
今年虎ノ門ヒルズに誕生した「ヒツジパブリック」。「NO CODE」米澤文雄シェフや「羊SUNRISE」関澤波留人さんなど5人のシェフが手掛けるヒツジ料理が楽しめる。祭では、タスマニア産のラムを使ったラムチョップなど、絶品ラム料理が味わえます!
昨年12月、虎ノ門ヒルズ地下のフードコートに突如現れた「ヒツジパブリック」。通称“ヒツパブ”。「羊肉を大衆化する!」をスローガンに、羊肉を愛するシェフたちが集結してスタートさせた羊肉ビストロだ。
シェフ陣の顔ぶれは、モダンアメリカ料理店「NO CODE」の米澤文雄シェフを筆頭に、イタリアン「TACUBO」の田窪大祐シェフ、フレンチ「méli mélo」の佐藤大典シェフ、「プルマン東京田町」にてモダン・オセアニア料理をつくる福田浩二シェフ。そして、ジンギスカン料理店「羊SUNRISE」の関澤波留人さん。以上の5人である。
羊肉の調達も担当する関澤さんは、昨今の羊肉ブームの火付け役の一人。羊肉への愛は半端ではない。
「日本人が1年間に食べる羊肉の量を知っていますか? 2004年の時点では平均して一人200g。約20年経った今でもまだまだ300g。将来それを1kgまでに増やしていきたいんです」と意気込む関澤さん。その想いはほかのメンバーもみな同じ。5人で顔をつきあわせ、羊肉を気軽に味わってもらえる店づくりに邁進したという。
昼はハンバーガーショップとして。夜になると羊肉ビストロへと変貌し、シェフ陣が監修したオリジナリティ溢れるメニューがお目見えする。パクチーたっぷりのラムしゃぶサラダ、やみつきラムタンの激辛ポテトサラダ、ラム焼売、柔らかマトンの絶品唐揚げ毛沢東スパイス、TACUBOのらむぼなーら……。メニュー表を目で追うだけでも気分が上がる羊肉料理にあふれている。しかもハイボールやサワー類も種類豊富。フードコートというラフなスペースだから、ふらっと立ち寄れ、ひとり飲みにももってこい。なんという使い勝手のよさ!
バラエティ豊かなメニューも去ることながら、ヒツパブで味わう羊は、そもそも素材の質が高い。ラムチョップなど一部のメニューでは、日本では珍しいオーストラリアはタスマニア産のラムを使用している。
「タスマニア島では、食肉の飼育においてホルモン剤や抗生物質の使用が禁止されています。それに雨水がそのまま飲めるくらい、世界で一番、水と空気のきれいな場所と言われていて。そんな環境のいい島で良質な牧草を食べて育った羊の肉は、とてもクリーンな味わいなんですよ」と関澤さんは胸を張る。
しかも、日本で食べるラムといえば生後8ヶ月程度の肉だが、関澤さんが仕入れるのはオーストラリア国内で流通する生後4~8ヶ月のもの。やわらかく、瑞々しくてジューシーな本来の羊肉のおいしさを楽しんでもらいたいと、冷凍ではなく生の状態で空輸している。
祭では、タスマニア産のラムチョップを、米澤シェフ考案のスパイシーかつ爽やかな酸味のアリッサヨーグルトソースをつけて味わうスペシャルメニューが登場。また、タスマニア産のラムをメインにオーストラリア産のラムを混ぜた水餃子、多国籍なスパイスが香るラム串もお目見えする。フリークもビギナーも、気軽に会場で羊肉にかぶりつこうじゃないですか!
文:安井洋子 撮影:海老原俊之