東京・渋谷の商業施設・パルコの中にある「チョンプー」は、本格的なタイ料理を提供するレストランだ。今回、店主の森枝幹さんは鶏挽き肉とバジルを炒めたガパオライスをつくる。そしてあのカレー研究家の水野仁輔さんとタイ人のレゲエさんがつくる、タイ南部のビーフカレーとの合がけもできるというスペシャルコラボレーションが実現。
「チョンプー」を訪れたらぜひ食べたいのが、店の一番人気の“カオヤム”だ。カオヤムはタイのライスサラダ。バタフライピーというチョウ豆の花で色付けした青いライスの周りに、魚介、ハーブや野菜、フルーツなど15種類ほどの具が並べられた、なんとも美しい一皿!そこに魚醤やエビの発酵調味料をベースに作られたソースをかけて全体を混ぜ、ライムをギュッと絞って食べる。野菜の食感、フルーツのジューシーな甘酸っぱさなど、さまざまな味わいが一口の中に入ってくる。
「本場では、青魚をほぐしたデンブのようなものが入っていることが多いですね。でもチョンプーでは、季節に合わせてウニやカニ、イクラ、鮎の丸揚げをのせたりしています。本場のタイ料理に日本の四季を合わせながらメニューをつくっています」
そう話すのは、店主の森枝幹さんだ。
2000年頃、シドニーのレストランで料理人としてのスタートを切っている森枝さんは、当時現地にあった新しいタイ料理の世界に刺激を受けたという。その後帰国し、さまざまなジャンルの料理に触れながら自身の世界観をつくり上げていった。
「まだ皆さんが知らないタイ料理を紹介していきたいと思っています。そして、皆さんの良く知るタイ料理でも、もっと奥深いということをお伝えできたら嬉しい」と話す。
例えば、日本でメジャーなタイ料理であるガパオ。挽き肉を使った料理だが、「チョンプー」のメニューに載せる際、色々なブランドの豚や鶏を試してみたという。いや、一度ならず、ついこの間も「もっとおいしくなる余地はあるか」と、改めてそうした試食をしたという。
しかし、毎回「ガパオにはこれしかない」とたどり着くのが、“熟レ鶏”という親鶏の粗挽きの挽肉。旨味が強く、エスニックな風味にも負けない味わいが選択の理由だ。
トッピングには揚げ焼きにした白身がカリッと香ばしい目玉焼きをのせ、混ぜ合わせながら食べると、食感と肉の旨み、バジルの爽やかさ、そこに自家製発酵調味料が加わって織りなす深い味わいがたまらない。「ガパオってこんなに美味しかったんだ」と開眼すること間違いなし。そんな森枝さんが紹介する“本気のタイ料理”を、ぜひ会場で味わってみて欲しい。
※当日は内容や盛り付けが変更になる場合もあります。
文:浅妻千映子 撮影:伊藤菜々子