4年ぶりにフル開催となった「土佐のおきゃく2023」。メイン会場の一角で、食いしん坊倶楽部のメンバーが高知独特の宴会、「おきゃく」を体験するイベントを行いました。
高知には「おきゃく」という酒宴文化があります。大皿に料理を盛り込んだ皿鉢(さわち)料理などをつまみながら酒を飲み、お座敷遊びなどで盛り上がります。冠婚葬祭、お祭りなどあらゆる機会で行われるもので、毎年3月には高知市の街中でおきゃくが行われる「土佐のおきゃく」という酒飲みのための大イベントも開催されます。メイン会場ではさまざまなブースが出店し、ステージでは音楽ライブなどが行われ、アーケード街には敷物を敷いてこたつを置き、そこでみんなが酒を酌み交わします。しかし、コロナ禍で中止になったり規模を縮小していましたが、今年は4年ぶりに“フル開催”となり、あちこちで笑顔があふれました。
そのメイン会場である高知市中央公園の座敷スペースで、dancyu食いしん坊倶楽部の「おきゃく体験イベント」を開催しました!高知はもちろん、東京や関西、中国地方など各地から集まった食いしん坊&呑ん兵衛に、地元の“達人”がおきゃくの楽しみ方を指南するというイベントです。
まずは三味線と唄と踊りで場がなごやかに盛り上がりましたが、“おきゃく大使”でもある食いしん坊倶楽部部長の植野がおきゃくについて説明した後、乾杯!おつまみセットや鯖寿司などをつまみながら(高知では、悪酔いしないように、酒を飲む前にご飯ものを腹に入れることが多いのです)日本酒を飲んでいると、初めて会った参加者同士もすぐに仲良くなって笑顔があふれました。
場が温まってきたところで、いよいよお座敷遊びスタート。コマを回し止まったコマがさしている人が天狗やひょっとこの形をした盃で一気に酒を飲む「可杯(べくはい)」や、お盆の上に伏せた盃を並べ(一つだけ菊の花を入れておく)、一人ずつ盃を開けていって、菊の花が入っている盃を開けた人が、そこまでに開いた盃に注がれた酒をすべて飲む「菊の花」などで大盛り上がり!
こう書くと、無理やり酒を飲ませるように思われるかもしれませんが、可杯や菊の花で当たった人が酒が弱い人であった場合、少しだけしか酒を注がなかったり、周りにいる酒の強い人が代わりに呑むのが“ルール”になっていて、お座敷遊びで酔いつぶれる人はほとんどいません。高知の人は大酒飲みというイメージが強いかもしれませんが(実際、大酒飲みもいますが)、たくさん酒を飲むというより、みんなで酒の場を楽しむのが上手なのです。
今回の「おきゃく体験イベント」でも、お座敷遊びで楽しそうに酒を飲み、最後まで笑顔が途切れませんでした。参加者に話を聞くと、
「一人で参加しましたが、すぐにみんなと仲良くなってとても楽しいひとときでした!」
「おきゃくはたくさん酒を飲まされるのかな、とちょっと心配でしたが、適度に飲みながら参加者が一体となって盛り上がれるので楽しかったです!」
といった声が多く上がっていました。
イベントが終わると、みなさんさらに別のおきゃくへ向かい、楽しい宴をはしごしていたようです。
是非みなさんも、高知の「おきゃく」を体験してみてください!
撮影:門田幹也 文:編集部