第17回「dancyu Live!キッチン」は、dancyu9月号「カレー特集」との連動企画として「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔さんをお迎えしました。今回教わったのは、誌面に登場した「骨付き鶏のニハリ風カレーライス」と誌面未掲載の「サブジ」。プロのコツが満載の配信は、dancyuのYouTubeチャンネルのアーカイブをご覧ください!
「dancyu Live!キッチン」初となる2回目の出演の稲田俊輔さん。dancyu9月号「カレー特集」のために考案した“稲田式シン・ライスカレー”と、誌面未掲載の「サブジ」を実演してもらいました。
しっかりスパイスを感じて、かつ日本の白米に合う、というのが“稲田式シン・ライスカレー”の定義。
「日本人が子どもの頃から慣れ親しんだ、とろみのあるカレーライスの延長にあるものを作ろうと思いました。求めていたのは、白いごはんをモリモリ食べる快感。そのためには適度なとろみが欠かせませんそして、スパイスは昔ながらのカレー粉を主役にしたいというのがコンセプトです」と稲田さん。
さらに、インドにも「ニハリ」という小麦粉でとろみをつけたカレーがあるそう。これを日本の古き良きカレーライスと掛け合わせたのが、今回ご紹介する「骨付き鶏のニハリ風カレーライス」なのです。
最初に玉ねぎを炒め、次に稲田さんが手にしたのはお茶パック。「スパイスをよけながらカレーを食べる手間を省きたいので、今回はホールスパイスをパックにひとまとめにして煮込み、後でサッと取り出します」。
玉ねぎが焦げていないか確認してひと混ぜしたら、火にかけたまま置いておき、今度はGGペースト(ガーリック&ジンジャーのペースト)の準備をします。ぱぱっとスパイスバックやGGペーストを準備している間に、玉ねぎもうっすらとしたきつね色になって外側に焼き色がつき始めてきます。ここでクミンシードを加えてよく炒め、香りが立ってきたらGGペーストを入れてさらによく炒めます。
次に骨付き鶏肉を鍋に入れて炒め、外側が白くなってきたらカレー粉を加えて香りが立つまで炒めたら水、スパイスバックを投入。ふつふつと沸いてきたら蓋をして肉が柔らかくなるまで煮込んでいきます。
さて、カレーを煮込んでいるあいだに野菜をスパイスで炒めたインド料理「サブジ」をつくります。「カリフラワーや茄子、ピーマンなどどんな野菜で作っても美味しいですが、今回は“稲田式シン・ライスカレー”を『完全体』にするためにじゃがいも、にんじん、たまねぎでつくります、というのも、カレーには鶏肉しか具が入っていません。サブジと合わせることで通常のカレーが完成するという黄金の組み合わせなのです」と、稲田さん。
野菜はすべて一口大に切り、ボウルにひとまとめにしてラップをし、電子レンジで5分ほど加熱します。
少し手のあいたこのタイミングを使って、質問にどんどん答えていきます。カレーのスパイスについて、参加者から「クミンシードはスパイス袋にいれなくていいんですか?」と鋭い問いかけが。「良い質問ですね。クミンシードは高温で香ばしさを引き出すことで美味しくなるので、玉ねぎと一緒に100度を超える状態で炒めます」と、稲田さん。
一方、スパイスバックにまとめたスパイスは低温で揮発性の香りを引き出したいので、鍋で100度以下の状態で煮込んでいきます。「強い香りを楽しみたい人はバッグにまとめず、クミンシードと一緒にすべてのホールスパイスを油で炒めるのもアリです」と爽快に質問に答えていきます。
その間手も動かしながらサブジを仕上げ、カレーの仕上げに入ります。鶏肉が柔らかくなっているのを確認したら鍋から取り出し、ニハリ風のとろみに欠かせない、水で溶いた小麦粉を泡立て器などで撹拌しながら混ぜていきます。小麦粉に熱が加わりとろりとしたらお肉を戻し入れて完成。「このままでも十分美味しいですが、常温まで冷ますと鶏肉に味が入ってより美味しくなりますよ」と、稲田さん。みなさんもぜひ、“稲田式シン・ライスカレー”を自宅で堪能してみてください!
プロの料理人の技をじっくり見ながら、リアルタイムで質問もできる「dancyu Live!キッチン」。次回のライブ配信は10月25日20時~、料理研究家の麻生要一郎さんに『四季dancyu2022秋』にも掲載された、秋を楽しむレシピと、未掲載のレシピも習います!お楽しみに。
いなだ・しゅんすけ●南インド料理店「エリックサウス」総料理長。美味しさと再現性の高さが大好評のレシピ本のほか、食を題材にしたエッセイや小説を執筆するなど幅広く活躍中。2021年に開催された「dancyu Live!キッチン」第6回の出演時には、わかりやすい説明に感動する参加者が続出した。
文:吉田彩乃 撮影:佐藤侑治