2020年最初のイベントは、本誌2月号「感動レシピ」のスピンオフとなる「料理教室」。誌面で紹介したレシピをさらに深く知るべく、シェフの手さばきを実際に見て学ぼう! と開催されたこの企画。当日は清澄白河の人気中華料理店「O2」の大津光太郎シェフを講師に迎え、レシピ解説と調理のデモンストレーションを実施。会場となった東京調理製菓専門学校のフードスタジオには、過去最大規模となる100名の参加者が集まった。
大津シェフが紹介してくれたのは、本誌にも掲載した「かぶのスープ」「黒酢たっぷりサンラータンメン」と、イベントのために用意された「焼売」の3品。いずれも「O2」で実際に提供されている人気メニューだ。まずは「かぶのスープ」「黒酢たっぷりサンラータンメン」のベースとなる基本の挽き肉のスープのつくり方からスタート。鶏挽き肉と豚挽き肉、鶏手羽先から出汁をとるこのレシピについて、参加者からは「出汁をとった後の挽き肉は何かに使えますか?」という質問が出ると、大津シェフからは「肉の旨味はすべてスープに出てしまうので、醤油、砂糖などで煮詰めてルーロー飯に使っても」とアドバイス。疑問点を直接シェフに聞けるのも、料理教室ならでは!
基本のスープができたら、いよいよ「かぶのスープ」へ。参加者の前で大津シェフがてきぱきと手を動かしつつ、ポイントを丁寧に解説。「基本のスープにかぶと貝柱を入れた後は、蒸し器を使いじっくりと温めるのがポイント。鍋やレンジを使うと沸騰して乳化し、食材の雑味が出てしまいます。蒸すことでクリアな仕上がりになるんです」と、大津シェフ。そして、できたての料理が会場で配られると、いざ、試食。飲んで納得! 本当に、やさしくてすっきりとした味わいだ。
次は「黒酢たっぷりサンラータンメン」。「今日のレシピはきのこ多めですが、夏にはトマトを入れるなど、季節ごとに具材を変えてもOK。お店でも同様に、食材で季節感を出しています」と、大津シェフがコメントすると、それを熱心にメモする参加者の姿も。
この日もっとも盛り上がったのは、焼売のデモンストレーション。「焼売を美しい形に仕上げるためのポイントは、餡を皮で包んだあとに少しくびれをつくること」と説明しながら、大津シェフがまずはお手本を披露。次には、植野編集長と参加者の中から選ばれた2名が挑戦。大津シェフの手さばきを見ていると簡単そうだが、実際にやってみると意外と難しいもの。でも、すこしくらい失敗してしも大丈夫。大津シェフがその場で、失敗する原因と、それを防ぐためのコツを教えてくれると、見ている人にとっても勉強になるからだ。
あっという間に3品が終了。参加者からは「シェフが料理するところは普段なかなか見られないので、とても貴重な体験だった。さらに、スープをクリアな味にするポイントなどを聞きながらその場で試食することで、つくり方と味が頭のなかで一致して、より深く“知る”ことができた」という感想も。大津シェフも「これだけ大勢の方に向けて話しながらつくるのは初めてだったので、少し緊張しました。質問もたくさんいただいて、一般の方々が疑問に思う部分を知ることができたので、私にとっても勉強になりました」と、笑顔を見せた。百聞は一見にしかず!今後もまた料理教室を開催するかも?
文:吉田彩乃 写真:富貴塚悠太