北イタリアの家庭料理
聞いたことある?ミラノ・コルティナ五輪の舞台で食べられている名物料理の一つ、鮮やかな赤色に驚くビーツのラヴィオリ「カスンツィエイ」

聞いたことある?ミラノ・コルティナ五輪の舞台で食べられている名物料理の一つ、鮮やかな赤色に驚くビーツのラヴィオリ「カスンツィエイ」

ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・パラリンピックが開催。今回の舞台は、コルティナ・ダンペッツオ地方を中心とした北イタリア。イタリアの北部らしい、素朴でしみじみとおいしい郷土料理がたくさんある場所だ。せっかくなので、この地方の料理をつくって食べながら五輪を応援しよう。今回紹介するレシピは、パスタ。鮮やかなビーツを詰めたラビオリです。

コルティナ地域では希少なパスタ料理をご紹介!

コルティナ・ダンペッツォ一帯はパスタ料理があまり多くないと以前に書いたが、そんななかで郷土料理としてよく知られているのが、カスンツィエイという半月型のラヴィオリだ。パスタ生地の中は、真っ赤なビーツのリピエノ(詰め物)がたっぷりと入っている。ゆでたてのラヴィオリから透けるピンク色が、なんとも愛らしい。
「ビーツは現地の料理によく登場しますが、独特の土臭さを和らげるために、かぶを少し混ぜるのがポイント。それだけではまとまりにくいので、じゃがいもも加えます」と山内千夏さん。
はじめは赤白のまだらだったリピエノが、フォークで混ぜ、時間が経つうちに、すべて真っ赤に染まっていくのを見るのも楽しい。パスタ生地を打つのは少し手間だが、のばした生地は丸く型抜きして折りたたむだけなので、この量ならあっという間。ソースもバターを溶かすだけと手軽だ。現地でも週末に家族とゆっくりと楽しむ一皿。さっそく次の休日に、オリンピックを観戦しながらチャレンジしてみては。

カスンツィエイのつくり方

材料材料 (12〜15個、2〜3人分)

ビーツ(ゆでたもの)80g
かぶ(ゆでたもの)40g
じゃがいも(ゆでたもの)40g
適量
胡椒適量
パン粉大さじ1/2〜
バター50g
パルミジャーノ大さじ1〜2
けしの実少々
★ パスタ生地
・ 00(ゼロゼロ)粉100g
・ 塩ひとつまみ
・ 卵1個
・ ぬるま湯少々

*ビーツは皮をむいたりカットしてからゆでると色が流出してしまうので、丸ごとゆでてから皮をむく。

00粉
00粉
日本の小麦粉はたんぱく質の含有量(グルテン量)によって薄力、中力、強力粉と分類されているが、イタリアでは精製度の違いで00、0、1、2と分けられ、数字が大きいほど外皮が多く含まれて全粒粉に近くなる。00(ゼロゼロ)粉は最も精製度が高く、粒子は小さくてサラサラときめ細かい。柔らかくなめらかな生地になるのが特徴だ。いわば小麦粉の大吟醸。生パスタやピッツァ生地によく使われる。製菓材料店やイタリア食材店で入手可能。またはフランスパン用の準強力粉で代用できる。

1パスタ生地をつくる

ボウルに粉と塩を入れて混ぜ、中央をくぼませたところへ卵を入れる。

パスタ生地をつくる

2卵を加える

フォークで卵を崩しながら周囲の粉と混ぜ合わせていく。

卵を加える

3生地を手で混ぜる

ざっくりと混ざったら、手でひとまとまりになるまで混ぜる。ボウルに粉が残って生地についてこないときは水分が足りないので、ぬるま湯少々を粉に落としてさらに練る。

生地を手で混ぜる

4生地を休ませる

表面がつるりとなるまでよくこねたら、表面が乾かないようにラップをかけ、室温で20〜30分休ませる。

生地を休ませる

5詰め物をつくる

ビーツ、かぶはチーズおろしの粗い面または大根おろし器でおろす。じゃがいもはマッシャーでつぶす。

詰め物をつくる

6パン粉を加えて水分を吸わせる

ボウルに5を入れてフォークでつぶしながら混ぜ、塩、胡椒で味を調えたら、パン粉大さじ1/2を加えて混ぜ、10分おいて水分を吸わせる。

生地にパン粉を加える

7詰め物の状態を確認する

柔らかいとパスタ生地に穴が開いてしまうので、ベチャッとするようならさらにパン粉を少量加えて調整する。もろっとした状態がベスト。

詰め物の状態を確認する

8皮の成形をする

4の生地を厚さ1mmにのばし、直径7〜8cmの丸型で抜く。

9詰め物を入れる

8で抜いた生地の中央に、7の詰め物をのせて半月型にたたむ。縁をしっかりと押さえてから、さらにフォークで押さえて模様をつける。

詰め物を入れる

10ゆでて溶かしバターをかける

鍋に湯を沸かして塩(分量外)を入れ、9を7〜8分ゆで、その間にフライパンで塩少々(分量外)を加えた溶かしバターをつくる。ゆで上がったパスタを器に盛り、溶かしバターをかけてパルミジャーノ、けしの実を振る。

ゆでて溶かしバターをかける

召し上がれ!

完成
なめらかな生地を割ると現れる、ビーツの鮮やかな色合いにハッとさせられる。土っぽさと甘さに溶かしバターの風味が混ざり合い、素朴ながらもちょっと贅沢さも感じる味わい。けしの実のプチプチとした食感も、いいアクセントになっている。

教える人

山内千夏

山内千夏

やまのうち・ちなつ●料理家。製菓メーカーで商品企画に携わった後、イタリアへ料理留学。以降、定期的に現地で家庭料理を学んでいる。湘南の自宅で料理教室を主宰。著書に『トルタ・サラータ イタリア式塩味のタルト』(文化出版局)など。

文:鹿野真砂美 撮影:伊藤菜々子

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。

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