
春の食材と言えば、山菜。最近はスーパーマーケットでも手軽に手に入るので、ぜひ使ってみたいと思いながらも、どのように食べるといいのかわからなくて手を出せない人もいることでしょう。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、揚げるだけの「山菜の天ぷら」のつくり方とそのコツを教えていただきました。
山菜は、アク抜きなどの下処理が必要で面倒、と敬遠されがちですが、天ぷらにすると簡単な上に、山菜独特の香りとほのかな苦味を楽しめます。
天ぷらは、衣がベタッとなって、カラッと揚がらない、悩み多き揚げものですよね。
ポイントは、具材に下粉をまぶしてから、衣を薄くつける点です。衣の材料はしっかり混ぜてしまうと、厚くついてボテッとした天ぷらになってしまうので、さっくり混ぜるようにします。
油に入れたら固まるまで触らず、上下を返しながらサクッと揚げます。固まった状態になってからであれば、天ぷらは何度返しても構いません。
ぜひ、揚げたてを召し上がってください。塩をふるのがお薦めで、お好みで山椒や花椒入りの塩にしてもいいですね。
合わせるお酒は、ハイボール。私は、普段からいろいろなウイスキーを飲んでいますが、山菜の苦味を邪魔しない繊細な味わいの国産ウイスキーがいいように思います。
好みの山菜 | 計80g(山うど・つくし・よもぎなど) |
---|---|
★ 衣 | |
・ 小麦粉 | 30g |
・ 冷水 | 50g |
小麦粉 | 大さじ1/2(下粉用) |
米油 | 適量 |
塩 | 少々 |
山菜は、それぞれ硬い部分などは取り除いておく。大きければ食べやすく切る。
衣の材料を軽く混ぜる。
①に小麦粉(下粉用)をまぶして②にくぐらせる。
フライパンに米油を1cmほどの高さまで入れて170℃に熱し、③を入れる。表面が固まってきたら、箸で上下を返しながらカラッと揚げ、油をきって塩をふる。
器に盛り、好みで塩を添える。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ