大原千鶴さんの「今宵のあて」
シチューのような仕上がりになる「タラとじゃがいものフリカッセ」

シチューのような仕上がりになる「タラとじゃがいものフリカッセ」

タラを使った料理というと、つい鍋やムニエルになりがちです。でも、洋風のクリーミーな味つけもとても美味しく、ワインによく合うあてになります。タラの下処理の仕方や火入れの方法など、お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、その作り方とコツを教えていただきました。

クリーミーな味わいに寄り添う白ワイン

タラは、バター、生クリーム、牛乳との相性がとてもよく、じゃがいもと合わせると、溶け出したでんぷんでとろみがついてシチューのようになります。

魚の中でも特に臭みが気になるタラは、下処理が大切です。臭みの素となる皮は外し、塩をふって、出てきた水分を取り除いてから使うようにします。

先にじゃがいもをバター焼きにし、その上にタラとにんにくをのせるのがポイントです。こうして蒸し焼きにすることで、タラもにんにくも焦げずにすみます。最後に牛乳と生クリームを入れてからめるうちに、タラにもじゃがいもにも火が入り、味がしっかりとまとまります。今回はタラを使っていますが、鮭や鶏肉もお薦めです。生クリームがなければ牛乳に変えて、牛乳だけでつくっても大丈夫ですよ。

クリーミーな味わいには白ワイン。キリッと冷えたシャルドネがいいですね。シャルドネのまろやかさがクリーミーなフリカッセにマッチし、それでいて濃厚な味をリセットしてくれます。

タラとじゃがいものフリカッセのつくり方

材料材料 (2人分)

タラ 2切れ(180g)(切り身・皮なし)
小さじ1/4
小麦粉小さじ2
じゃがいも1~2個(160g・皮をむいた正味約140g)
バター10g
A
・ 白ワイン大さじ1
・ おろしにんにく少々
B
・ 牛乳大さじ3
・ 生クリーム大さじ3
ケール適宜
粗挽き黒胡椒適宜

1タラの下処理

タラの全体に塩をふって冷蔵庫で10分間ほど置き、出てきた水気を拭く。小骨を抜いて、一口大のそぎ切りにする。焼く直前に小麦粉をまぶす。

2じゃがいもを切る

じゃがいもは皮をむいて7mm幅に切る。

3じゃがいもを焼く

フライパンにバターを入れて中火にかけて溶かし、溶けたら②のじゃがいもを加え、蓋をして3分間ほど焼く。

4タラを蒸し焼きにする

③のじゃがいもの上下を返して①をのせる。Aを入れ、再び蓋をして時々様子を見ながら3分間ほど焼く。

タラを蒸し焼きにする

5味ととろみをつける

タラに火が通ったら蓋を外し、Bを加えて全体にからめる。フツフツとしてとろみがついたら火を止める。

6仕上げる

あればケールの葉を敷いた器に盛り、好みで黒胡椒をふる。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。