尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
飲みきれない"牛乳"でつくりたい!熱々がたまらない"グラタン・ドフィノワ"

飲みきれない"牛乳"でつくりたい!熱々がたまらない"グラタン・ドフィノワ"

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は“牛乳”。飲みきれないときにぜひつくってほしい、熱々のオーブン料理をご紹介!

“牛乳”は待ってくれない!

“牛乳”といえば冷蔵庫の常備品だが、開封したら待ったなし。飲みきれずダメにしてしまったことはないだろうか。そんな悩みを打ち明けたところ、尾身家では牛乳の消費量がすごかった!

「夫が牛乳好きなので、我が家は1リットルパック2本が3日でなくなってしまうんですよ(笑)。でも、私自身は子どものころから、給食で出てくる牛乳が苦手。だから、カフェラテに使うくらいじゃ飲みきれないというのもよくわかるんです。そんなときはぜひ、料理に使ってほしいですね」

実は尾身さん、これまでのお仕事で数えきれないほどの牛乳レシピを考案してきたそう。たんぱく質やカルシウムを豊富に含んでいることから、アスリート向けに牛乳を使ったレシピが求められることも多いのだとか。

栄養バランスに注目が集まることが多い牛乳だが、こんな出来事も。

「以前、入院したときに、病院の食事で牛乳とちらし寿司が出たんです。栄養は摂れるかもしれないけど、いかんせんこの組み合わせは合わない!もっとおいしく食事に取り入れたいと思いましたね」

そんなわけで尾身さんがつくってくれたのが、飲みきれない牛乳とじゃがいもでつくる、シンプルなグラタン。オーブン料理と聞くとちょっと面倒なイメージがあるが、これがいたって簡単!さっそくつくり方を教わることにしよう。

尾身さん
牛乳とじゃがいも、家に常備している食材でつくれます!

ベシャメルいらずのポテトグラタン

牛乳たっぷりのポテトグラタン、その名も“グラタン・ドフィノワ”。実は、フランス南東部にあるドフィネ地方で愛されてきた郷土料理。グラタンといえば、ベシャメルソースをつくるのが面倒くさく思えてしまうものだが、心配ご無用。生のじゃがいもを牛乳で煮ることで自然にとろみがつくので、ベシャメルいらずなのである。

「じゃがいもなら、常備している家庭が多いと思うんです。家にある材料でパパッとつくれるからとっても手軽。それに、じゃがいもの下ゆでも不要です。メインの肉料理のつけ合わせとしてもおすすめですよ!」

つくり方のコツは、フライパンにじゃがいものスライスをらせん状に並べること。そして、牛乳を注いで煮るのだ。こうすることで牛乳がまんべんなく対流して、混ぜなくても焦げつきにくいのだそう。また、牛乳にタイムを加えて煮ることで、ほんのりハーブが香るのもおいしさのポイントだ。

「じゃがいもに火が通ったら、あとは耐熱皿に移してパルミジャーノをのせてオーブンで焼くだけ。チーズのコク、まろやかな牛乳の旨味をまとった、ホクホクのじゃがいもは最高!寒くなるこれからの季節、ぜひ定番にしてくださいね」

“グラタン・ドフィノワ”のつくり方

完成

材料材料 (直径28cmのオーバル皿1台分)

牛乳250ml
じゃがいも400g(5mm厚さのスライス、水にさらさない)
にんにく1片(つぶす)
タイム3~4枝(ローリエでもよい)
バター10g(食塩不使用)
小さじ2/3
白胡椒少々
パルミジャーノ・レッジャーノ25g(すりおろす)

1じゃがいもを並べる

フライパンにつぶしたにんにくをまんべんなくすりこみ、スライスしたじゃがいもをらせん状に並べていく。

じゃがいもを並べる
じゃがいもを並べる

2牛乳を加えて煮る

牛乳、バター、タイム、塩、白胡椒を加え、さらにすりこんだにんにくの残りも入れて、中火にかける。煮立ったら弱火にして、じゃがいもがやわらかくなるまで10分ほど煮る。

牛乳を加えて煮る
牛乳を加えて煮る

3パルミジャーノをのせる

耐熱皿に移して、パルミジャーノ・レッジャーノをのせる。

パルミジャーノをのせる
パルミジャーノをのせる

4オーブンで焼く

200℃に予熱したオーブンに入れ、15分ほど焼く。こんがりと焼き色がつき、水分がほとんどなくなったら出来上がり。

オーブンで焼く
オーブンで焼く

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。