さっとつくれて、食べ飽きない味。それも素材はカリフラワーだけ。手間をかけず、味つけもシンプルとなると、控えめな味かと思いきや、この一品は別物です。ステーキという名前の通り、食べごたえがあって、お酒が進む味。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
私は大の野菜好き。もちろん、お酒のあてにもします。それもできるだけシンプルに、野菜は1種類だけ。1種類だとベストの火入れができるのでそのものの味が引き出せ、美味しく仕上がるんです。
カリフラワーはゆがいていただくことが多いですが、今回は生のまま焼きます。カリフラワーやブロッコリーは野菜の顔をしていますが、油で焼くと旨味や甘味がぐんと増し、ステーキみたいになるんです。茎の部分はちょっといもっぽいので弱めの中火でしっかりゆっくり焼きます。焼いている間は、あんまり触らないこと。焦げ目があるくらいが美味しく、水分が飛んでほっくりとした味わいになります。
にんにくの風味だけで十分美味しいのですが、バルサミコ酢をかけると違った味が生まれ、これがワインとよく合うんです。穏やかで軽やかなボジョレーがお薦めです。
カリフラワー | 1/2個(約140g) |
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おろしにんにく | 少々 |
塩 | ふたつまみ |
バルサミコ酢 | 少々 |
カリフラワーは茎ごと縦に2cm幅に切る。
①のカリフラワーをフライパンに並べ入れ、オリーブオイル大さじ1(分量外)を回し入れ、弱めの中火にかけて蓋をする。片面がこんがりと焼けたら上下を返し、おろしにんにくと塩をふって、オリーブオイル小さじ1(分量外)を足し、火加減は弱めの中火のままもう一度蓋をして焼く。
しんなりと焼けたら器に盛り、バルサミコ酢を添える。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ