料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回はたっぷりつくりがちな“肉じゃが”が、シチリアの名物料理に大変身!
今回のお題は再び、ちょっとだけ残った“肉じゃが”である。前回はイタリアのオムレツ“フリッタータ”に激変して、見た目の華やかさとおいしさに驚いた。が、今週はその驚きをさらに上回る料理の登場である。「シチリアのご当地パスタをつくります!」と、尾身さん。エッ、肉じゃがなのにシチリア……?
「まさか!と思うでしょ?でも、シチリアには本当に“肉じゃがパスタ”が存在するんですよ。庶民的な食堂では必ずメニューにある、定番のパスタなんですって」
その料理の名前は、“パスタ・アラ・グラッサ(Pasta alla grassa)”。シチリアの州都であるパレルモでは、どこの食堂にも必ずあるといっていい、郷土の味。パスタにからんだソースが肉じゃがに似ていることから、現地在住の日本人たちからは親しみを込めて、“肉じゃがパスタ”と呼ばれているというのだ。さて、日本の肉じゃがは果たしてどれくらい、シチリアに近づけるのだろうか。
いざ、尾身さんがつくってくれた“肉じゃがのパスタ・アラ・グラッサ”を実食。おお、肉じゃがのようで肉じゃがではない、新しいおいしさ……!オリーブオイルとにんにくの香り、ケッパーの塩気と酸味に、これほどまでに肉じゃががマッチするとは意外や意外。しかも、レモンをギュッとひとしぼりすることで、さらにソースのおいしさが引き立つのだ。
「肉じゃがのパスタがこんなにおいしいなんて、私もびっくりしました。残り物にありがとうって言いたい!」
尾身さんから教わったコツは、じゃがいものソースがとろっとパスタにからむように、、オリーブオイルで炒めながら木ベラで砕くこと。一度つくってみれば、きっと「ヴォーノ!」と言いたくなるに違いない。
ロングパスタ | 160g(1.6mm) |
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残った肉じゃが | 250g |
ケッパー | 大さじ1(粗みじん切り) |
にんにく | 大さじ1/2(粗みじん切り) |
赤唐辛子 | 1本(乾燥の輪切り) |
イタリアンパセリ | 適量(みじん切り) |
EXバージンオリーブオイル | 大さじ3 |
塩 | 適量 |
黒胡椒 | 適量 |
レモン | 2切れ(くし形切り) |
鍋にたっぷりの湯を沸かして、湯量の1%の塩を加える。パスタを投入し、袋の表示時間よりも1分ほど短めにゆでる。
フライパンにオリーブオイル、にんにく、赤唐辛子を入れて中火にかける。香りが出たら、肉じゃがを入れて炒め、温まってきたら木ベラで粗く砕く。
パスタをゆでている鍋から、お玉1.5杯分のゆで汁をすくってフライパンに入れ、ケッパーも加える。
ゆで上がったパスタを鍋からトングでフライパンに移す(ゆで汁はきらなくてOK)。ソースをからめて味見をし、味が足りなければ塩を加え、黒胡椒をふって味を調える。器に盛り分けて仕上げのオリーブオイル少々(分量外)をまわしかけ、イタリアンパセリをふる。レモンを添える。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之