野菜のあては罪悪感なしにいただけますが、ちょっと物足りなくなりがち? そこをうまくカバーして、美味しく味わえるのが甘酢味。南蛮漬け風にするとつくりたても美味しいですが、つくり置きしたものは味わい深く、お酒がさらに進みます。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
私は日頃からお酢をよく使い、さっぱり、あっさりいただくのが大好き。いつも京都・村山造酢の「千鳥酢」を使っていますが、米酢であればなんでもよく、まろやかな酸味に仕上がります。今回ご紹介する甘酢は、砂糖、酢、薄口醤油を1:1:1の同割で合わせるだけ。覚えておくと何かと使える万能甘酢です。
ごぼうは洗っただけで、皮付きのままです。このほうが食べたときにごぼうの味も歯ごたえもあって、甘酢味がよく合うんです。片栗粉をまぶして揚げると中はしっとり、外はカラッと揚がり、味なじみがよくなります。揚げたてを甘酢と合わせ、ちょっとしんなりしてきたら食べ頃です。酸っぱすぎず、穏やかな酸味が、ウーロンハイにぴったりで、いくら食べても食べ飽きません。
冷蔵庫で4~5日もち、日が経つとつくりたてとは違った美味しさになります。箸休めにも、おつまみにも、お弁当のおかずにもなり、活用範囲が広くて重宝します。
ごぼう | 60g |
---|---|
片栗粉 | 大さじ1/2 |
米油 | 適量 |
★ 甘酢 | |
・ 砂糖 | 大さじ1 |
・ 米酢 | 大さじ1 |
・ 薄口醤油 | 大さじ1 |
白胡麻 | 少々 |
粉唐辛子 | 少々(韓国産・中挽き) |
ごぼうはよく洗って5mm幅の輪切りにする。
甘酢の材料をボウルに入れて混ぜ合わせておく。
揚げる直前に①のごぼう全体に片栗粉をまぶす。170℃の米油でカラッと揚げて油をきる。
③が熱いうちに②の甘酢にからめ、白胡麻と粉唐辛子を加えて混ぜる。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ