botanovaと巡る、美味なるプラントベース
大阪スパイスカレーの寵児、植竹大介シェフのプレート

大阪スパイスカレーの寵児、植竹大介シェフのプレート

カレーと油脂は切っても切れない仲にある。なぜなら、スパイスの風味は油脂でこそ引き出せ、油脂の中に封じ込め、それがカレーの味わいになるからだ。植物性原料だけで“動物性油脂の特長を活かしたおいしさ”を創りだした食用油脂「botanova」とスパイスの相性はどうだろうか。そこで、大阪で発祥した“大阪スパイスカレー”を牽引し、全国区に広めた立役者の一人である「旧ヤム邸」の植竹大介シェフに、「botanova」でつくるプラントベースのカレーの魅力、未来図を探ってもらった。
*プラントベースフード=植物由来の原材料を使ってつくる食品の総称。

スパイスカレーは、油脂ありき

植竹シェフ
大阪スパイスカレーはスパイスを楽しむカレーだからと、テンパリングの作業は慎重に進める植竹シェフ。ホールスパイスは見た目の変化はほぼないので、自身の鼻が頼りだという。

大阪で発祥した“大阪スパイスカレー”は、スパイスを多用しながらもインドカレーとは一線を画した、個性豊かなカレーである。しかし、明確な定義はない。なんとなくイメージはあるが、シェフの発想を具現化するというフリースタイルもまた魅力となっている。「どこの店も、スパイスを感じる味わいにまとめています。なので、スパイスは多め。基本的な調理スタイルとしては、まずホールスパイスを油脂でテンパリングします。炒めて、香りを油脂に移すことですね。その油脂で具などを炒め、パウダースパイスと塩などで調味します。あとは軽く煮込むだけ。簡単でしょう」と笑う植竹シェフ。
ルウでつくるカレーよりも油脂は少なくて済み、どちらかというとさっぱりとした味わい。ご飯との相性もいい。だからこそ、食べたい欲求をそそり、食べた人を魅了し、そして新たなリピーターを増やし続けているのだろう。

botanova
スパイスのテンパリング
スパイスのテンパリングでは「botanova」を完全に溶かしてから、スパイスを投入。「温度が高すぎるとスパイスが揚がってしまいます。香りを油に引き出すには、溶けたらいったん火を止め、温度を少し下げてからスパイスを入れると失敗しないですよ」とアドバイス。

カレー界にもプラントベースの風潮

植竹シェフがプラントベースのカレーに興味を抱いたのは、東京2020オリンピック・パラリンピック開催前のことだった。「スパイスカレーをより多くの人に味わってもらいたい。日本を訪れる外国の方々に、日本生まれのカレーの魅力に大いに触れてもらいたい。そう考えたとき、プラントベースのカレーの必要性を感じました」。折しも六本木の出店が決まり、4種類あるカレーの一つをプラントベースの“ベジカレー”で行くことにしたのである。「豆や根菜を使い、うちの特徴であるキーマカレー感を生かしたメニューを提供することにしました」。
店舗ごとに毎月メニューを替える旧ヤム邸。ベジカレーのメニュー開発も常に行なわれていたが、その中で感じたのが、メニューの広がりの限界だったという。「スパイスカレーはスパイスの風味に負けない強い旨味が必要なのですが、その旨味……肉に勝るものはないなと痛感した次第です」と植竹シェフ。
そこで、ミヨシ油脂が開発したプラントベースの油脂「botanova」を試してもらった。

植竹シェフ
植竹シェフ
これ、すごくいい。動物性油脂の特長をきれいにまとっていて、油脂で肉の旨味を表現できるのが素晴らしい。コクがしっかりあるのに、“食後感”は軽やか。これって現代人が好む嗜好の傾向なんです。そして、うちのカレーが目指しているテイストでもあります。

プラントベース油脂「botanova」の頼もしさ

botanova
ミヨシ油脂の「botanova」は、植物性原料だけで“動物性油脂の特長を活かしたおいしさ”を創りだした油脂ブランド。上から時計回りに「botanova 植物のおいしさ バター風味」「botanova 植物のおいしさ 牛脂風味」「botanova 植物のおいしさ ラード風味」。

植竹シェフが「botanova」でつくってくれたスパイスカレーは、“トマキムキーマ”と“麻婆キーマ”。ともに大豆ミートを使用し、豚キムチから着想したというトマキムキーマは“ラード風味”、麻婆豆腐をアレンジした麻婆キーマは“牛脂風味”で炒めた。「大豆ミートが、肉を焼き付けたような芳しい香りでマスキングされておいしさがぐぐんとアップ。もっと早く出会いたかったなぁ」。

さらにもう一品。“バター風味”で炒めるシンプルな副菜“クミンキャベツ”も紹介してくれた。「botanovaはスパイスの風味をきれいに引き出してくれますね。“バター風味”からはリッチな風味も感じます。バターというより高級なバター(笑)」。さすが植竹さん!である。 botanova“バター風味”は、発酵バターのテイストを目指して開発されているのだ。

植竹シェフ
植竹シェフ
コロナ禍が落ち着き、外国人のお客さまががぜん増えて、ベジカレーの人気がすこぶる好調です。プラントベースのメニューを増やす時期なのかな、と感じています。「botanova」のような油脂があると、メニューに幅が出て、ベジカレーの世界がぐっと広がりますね。

旧ヤム邸に通う楽しみが増えそうだ。

植竹シェフ
カレーのメニューも盛りつけも店舗ごとに異なる「旧ヤム邸」。今回は撮影したシモキタ荘のスタイルで盛りつけることに。「合がけの楽しさは味わいがどんどん広がるところ。このスタイルも大阪スパイスカレーの一つです。混ぜて混ぜて味わってください」と植竹シェフ。
油脂でおいしい暮らし③
マーガリンは低トランス脂肪酸食品

マーガリンなど食用加工油脂ではトランス脂肪酸が気がかり、という方もおられよう。確かに過剰に摂取すると、心臓疾患のリスクが高まるという研究報告があり、WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取量を「総エネルギー摂取量の1%未満」にするよう勧告している。でも、ご安心あれ。日本人のトランス脂肪酸摂取量の平均値は約0.3%と、その数値を大きく下回っている。
それでも摂取量をできるだけ低く留めたいもの。たとえばマーガリンは企業努力などにより、2006-2007年の調査で100g中8.7gだったのが、8年後には100g中0.99gにまで低減。天然素材のバターが1.9gなので、そのほぼ半分にまで低減しているという。もはやマーガリンは低トランス脂肪酸食品なのである。

※トランス脂肪酸含有量は、農林水産省「トランス脂肪酸に関する情報 食品中の脂質とトランス脂肪酸濃度」より引用。
botanova
botanova
「botanova」は、“植物”の「botanical」と“新しい”という意味の「nova」からネーミング。プラントベースで新たな食の領域を切り拓く、というミヨシ油脂の意気込みが込められている。2020年9月の“バター風味”と“ラード風味”を皮切りに、2021年12月には“牛脂風味”を発売。さらに今年6月より“鶏油(チーユ)風味”が仲間入りした。バターやラードなど、動物性油脂が好きな人にも「おいしい!」と感激してもらえる味・香り・食感を提供する。
ヴィーガン認証マーク&RSPO認証マーク

・「botanova」4種はすべてNPO法人ベジプロジェクトジャパンのヴィーガン認証を取得。※同じ製造設備で動物性原料を含む製品も製造しています。
・「botanova」はRSPO(マスバランス)認証製品です。RSPO(マスバランス)認証製品は、持続可能なパーム油の生産に貢献しています。

「botanova」を使った“スパイスカレー”のレシピ

トマキムキーマのつくり方

材料材料 (2人分)

botanova 植物のおいしさ ラード風味20g
大豆ミート(ミンチタイプ/乾燥)50g(ゆでて戻し、水気を絞る)
玉ねぎ1/4個(スライスしてざく切り)
トマト小2個(ざく切り)
カクテキ(大根キムチ)60g
にんにくのすりおろし大さじ1/2
生姜のすりおろし大さじ1/2
A ホールスパイス
・ マスタードシード3g
・ カルダモン5粒
・ ローリエ3枚
B パウダースパイス
・ カルダモン5g
・ クローブ2g
・ カレー粉10g
・ パプリカ3g
・ チリパウダー1g
1カップ
4g

1ホールスパイスをテンパリングし、具を炒める

鍋にbotanova“ラード風味”を入れて中火にかけ、溶けたらAを入れ、香りが出るまで炒める。にんにく、生姜、大豆ミートを加え、炒め合わせる。大豆ミートに油が回ったら、玉ねぎ、トマトの順に炒めながら加える。トマトはつぶすようにして炒めるのがポイント。

ホールスパイスをテンパリングし、具を炒める
マスタードシードはパチパチとはぜるので、それがテンパリングの証。
ホールスパイスをテンパリングし、具を炒める
スライスした玉ねぎは長さをザクッザクッと適当に切る。不揃いな感じは、むしろ食感のアクセントになるという。

2パウダースパイスを加えて、軽く煮る

玉ねぎが透き通ってきたらBを加えて混ぜ、水と塩も加えて混ぜ合わせる。最後にカクテキを入れて混ぜ、全体がなじむようさっと煮る。

パウダースパイスを加えて、軽く煮る
トマトはヘラで押しつぶすように炒めるのがポイント。パウダースパイスは予め計量して一気に加えるとスムーズだ。
パウダースパイスを加えて、軽く煮る
そのまま食べておいしいカクテキは仕上げに投入。温まり、カレーと味がなじんだら完成。

麻婆キーマのつくり方

材料材料 (2人分)

botanova 植物のおいしさ 牛脂風味20g
大豆ミート(ミンチタイプ/乾燥)50g(ゆでて戻し、水気を絞る)
豆腐1/2丁(2cmのさいの目切り)
長ねぎ10cm(四つ割りにして1cm幅に切る)
にんにくのすりおろし小さじ1
生姜のすりおろし小さじ1
にら15g(1cm幅に切る)
C ホールスパイス
・ スターアニス3個(八角)
・ クローブ6粒
・ ブラックペッパー1g
・ 赤唐辛子3本(種を取り除く)
D パウダースパイス
・ カレー粉15g
1カップ
E
・ 豆板醤小さじ1
・ 甜麺醤小さじ1
・ 紹興酒小さじ1
・ 醤油小さじ2
・ 塩2g
水溶き片栗粉(片栗粉大さじ1/2を水大さじ1/2で溶く)

1ホールスパイスをテンパリングし、大豆ミートを炒める

鍋にbotanova“牛脂風味”を入れて中火にかけ、溶けたらCを入れて炒める。香りが出てきたら、にんにく、生姜、長ねぎを加えて炒め合わせ、さらに香りが立ってきたら大豆ミートを入れて、炒める。

ホールスパイスをテンパリングし、大豆ミートを炒める
「botanova」とスパイスの相性のよさを感じるテンパリング。十分に香りを引き出してから大豆ミートを炒める。

2パウダースパイスを加え、豆腐を煮る

大豆ミートに油が回ったらDをふり入れ、炒め合わせる。続けて水とEを入れて混ぜ、豆腐も加えて2分ほど煮る。仕上げににらを加え、水溶き片栗粉でとろみをつけてまとめる。

パウダースパイスを加え、豆腐を煮る
スパイスの香りが溶け込んでいる油脂が大豆ミートに満遍なく行き渡ると、しっとりしてくる。丁寧に炒めることで大豆ミートがおいしくなる。
パウダースパイスを加え、豆腐を煮る
豆腐が温まったら最後ににらを加える。豆腐は温めすぎると水っぽくなってしまうので、さっと煮るのもポイント。

クミンキャベツのつくり方

材料材料 (2人分)

botanova 植物のおいしさ バター風味20g
キャベツ約200g(ざく切り)
クミンシード1g
ターメリックパウダー3g
2~3g

1キャベツは歯ごたえも楽しめるように炒める

鍋にbotanova“バター風味”を入れて中火にかけ、溶けたらクミンを入れて炒める。香りが立ってきたらキャベツを入れ、2~3分炒める。仕上げにターメリックを加えてなじませ、塩で調味する。

キャベツは歯ごたえも楽しめるように炒める
クミンとキャベツの好相性を、botanovaの“バター風味”が、より魅力的な味わいにまとめ上げる。ターメリックも加わり、植竹さんもお気に入りの、おいしくて健康的な副菜。

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ミヨシ油脂 戦略企画本部
03-6775-9385(平日9:00~17:30)

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Plant Based Lover

植竹大介(うえたけ・だいすけ)

植竹大介(うえたけ・だいすけ)

大阪スパイスカレーのパイオニア「旧ヤム邸」オーナーシェフ。1972年、大阪生まれ。大阪・心斎橋のカフェからスタートし、南船場に「ヤムカレー」をオープン。2011年に谷町六丁目に移転し、「旧ヤム邸」と改名する。中之島、梅田の出店に続き、2017年には東京進出を果たす。下北沢にオープンした後、六本木、神奈川・鎌倉にも出店。オリジナリティーあふれるスパイスカレーは店舗ごとにメニューが異なり、それもまた魅力となっている。実はハーブ系カレーも得意。

旧ヤム邸シモキタ荘
http://kyuyamutei.web.fc2.com
【住所】東京都世田谷区代沢5-29-9
【電話番号】03-6450-8986
【営業時間】11:00~14:30(L.O.) 18:00~20:30(L.O.)
      土日祝11:00~15:00(L.O.) 17:30~20:30(L.O.)
【定休日】火曜 
※旧ヤム邸は全6店。大阪は空堀店(谷町六丁目)、中之島洋館(肥後橋)、旧ヤム鐵道(梅田)、関東はシモキタ荘のほかYammy's(東京・六本木)、かまくら荘(神奈川・鎌倉)。

文:斉藤由利子 写真:森本真哉