冬のキャベツより格段に旨味が増す、春キャベツを使ったおつまみ。フレッシュな生も美味しいですが、今回ご紹介するのは、くたっとした食感のオイル蒸し。春ならではの味わいを、お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
春のキャベツは冬のものと違って、みずみずしくて柔らかいのが特徴。加熱するとみずみずしさはそのままで、甘味が際立ちます。ライトなボリュームなのでたっぷり食べられ、オイルと合わせると満足感もあります。
これというコツがないくらい、つくり方は簡単です。キャベツは柔らかいのでザクッと切り、ちぎったアンチョビをのせオリーブオイルをかけてちゃちゃっと蒸すだけ。味つけはアンチョビまかせなので、塩加減はアンチョビの量で調整してください。
これだけでも十分美味しいのですが、仕上げにぎゅっと搾るレモンと胡椒で味はぐんと格上げされます。塩気に酸味と香りが加わって、味わうとスパイシー。ジューシーで軽やかな食べ心地で、きりっと冷えたシャルドネといただくと、さらに進みます。
キャベツ | 200g |
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アンチョビフィレ | 2枚 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
レモン | 適量(搾りやすく切ったもの) |
粗挽き黒胡椒 | 少々 |
フライパンにざく切りにしたキャベツを入れ、手で細くちぎったアンチョビをのせ、オリーブオイルをかけて蓋をする。
中火にかけ、時々箸で混ぜながらキャベツがくたくたになるまで蒸し煮にし、火を止める。
器に盛り、レモンを添え、胡椒をふる。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ